傾聴とは?

「傾聴」(けいちょう)とは何か? それは、相手の話をただフムフムと黙って聞くことではありません。もっと積極的で役に立つコミュニケーションスキルです。

たとえば、AさんがBさんのことを「大嫌い」と言いながら、本当は「大好き」だとします(そんなことってありますよね)。でも、この「大好き」という気持ちにはAさん自身もまだ気づいていません。こんなとき、あなたが話をきく立場だったら、どうしますか?

まずは、「傾聴ではない」きき方の例を挙げます。Bさんのことを「大嫌い」だというAさんの話について…

  1. 「早く終わらないかな」「次は何を話そうかな」と思いながら上の空で聞く。
  2. とにかくガマンして黙って聞く。
  3. 「大嫌いなんて言っちゃだめだよ」と否定する。
  4. 「わかる、わかる!自分にもそんな経験がある」と同意する。
  5. 「キライって言ってるけど本当はBさんのことが好きなんでしょ」と断定する。
  6. 「そんなときは、こうしたほうがいいよ」とアドバイスする。

これらはすべて「傾聴」ではありません。1(上の空)は論外ですし、2(黙ってガマン)も似て非なる聞き方です。また3(否定)や4(肯定)のように相手の意見に評価を下すことでもありません。5のように一方的に決めつけることでもなければ、6のようにアドバイスすることでもありません。

楽しく話を聞いている写真

では、傾聴とはどんな聴き方なのでしょう。この場合なら、「『本当は大好き』という気持ちにAさん自身が気づくためのサポートをする聴き方」になります。

Aさんが自分でも気づいていなかった気持ち。それをAさんの話に寄り添いながら、Aさん自身が「気づいて」「そのまま受け入れる」お手伝いをしてあげるのです。

別の例を挙げてみます。

Cさんは「上司の仕事のやり方が間違っている」「家族がだらしない」「最近の若者はマナーを知らない」と、いろんな不満を口にしています。だけど実は、そのバラバラにみえる話の根っこにある「本当に伝えたい気持ち」は、「誰も自分を認めてくれなくて寂しい」ということかもしれないのです。

そんな「本当に伝えたい気持ち」を相手に寄り添いながら一緒に見つけて、まずはそのまま受け入れる。それが傾聴の方法です。

いかがでしょう。少しイメージが湧いてきましたか?

 

傾聴の基礎となる人間観

ここでいう「傾聴」は、カール・ロジャーズ(1902-1987)というアメリカの心理学者がはじめた心理療法に由来しています。

この傾聴には「うなずき」「あいづち」をはじめ「キーワードを繰り返す」「要約して伝え返す」などさまざまな技術が必要とされます。

だけど、その前に知っておくといいのは傾聴の基礎となる人間観です。

傾聴の基礎となる人間観:ひとは自分自身で変化する力を備えている。

相手の気持ちや考え方を無理やり変えようとしても上手くいきません。その人自身が自分の内面を見つめ素直に受け入れることで、自らの力でいい方向に変化することができます。そのためのお手伝いが傾聴です。

「きくこといいこと」では、このような傾聴の考え方に基づきながら、「相手の話を丁寧にきくこと」(日常的な意味での傾聴)、さらには「きくこと」をつうじた議論やコミュニケーションの技術まで紹介したいと考えています。

 

関連記事

質問学ブログ:「傾聴サポーター」になりました

質問学ブログ:傾聴的(よくきく)コミュニケーションの可能性

質問学ブログ:ディベートにおける「聴くこと」の重要性