おまけとして、ロジャーズが「傾聴」という言葉をどんな風に使っているかについても触れておきたます。

日本語では「傾聴」と訳されていますが、英語の原文では、皆さんご存知の単語 “listen”とか “listening”という言葉が使われています。つまり「きくこと」ですね。

 

まず初めに、クライアントは相手が自分の感情に受容的に傾聴していることに気づくにつれて、少しずつ自分自身に耳を傾けるようになっていく。

In the first place, as he finds someone else listening acceptantly to his feelings, he little by little becomes able to listen to himself.

(中略)

自分を傾聴することを学習すると、彼は自分自身に対してより受容的になれる。

While he is learning to listen to himself, he also becomes more acceptant of himself.

(中略)

さらに彼は、自分の中の感情をより正確に傾聴するようになり、(中略)より自分自身と一致する方向へと向かうようになる。

And finally as he listens more accurately to the feelings within […], he also moves toward grater congruence.

(中略)

こうした変化が生じるにつれて、つまり彼がより自分に気づく(self-aware)ようになり、防衛的でなくなり開かれていくにつれて、彼はついに、人間生命体にとって自然な方向へと自由に変化し成長することができるようになっている自分を見出すのである。

As these changes occur, as he becomes more self-aware, more self-acceptant, less defensive and more open, he finds that he is at least free to change and grow in the directions natural to the human organism.

 

ロジャーズは “listen”(聞く)という単語を使いながら、傾聴の役割をこんな風に説明しているのでした。

傾聴してもらうことによって、クライアントは自分自身に耳を傾け、自分自身を受け入れ、自分自身に気づき、ひとりの人間として変化し成長できるということですね。

ロジャーズが語る傾聴の意味、ぜひご参考になさってください。

 

引用・参考文献

  • ROGERS, C. R. (1961). On Becoming a Person: A Therapist’s View of Psychotherapy, Houghton Mifflin. (諸富祥彦・末武康弘・保坂享 訳(2005)『ロジャーズ主要著作集3 ロジャーズが語る自己実現の道』岩崎学術出版社)
  • The Carl Rogers Reader. Edited by Howard Kirschenbaum and Valerie Land Henderson(H.カーシェンバウム/V.L.ヘンダーソン編、伊東博・村山正 監訳『ロジャーズ選集(上)』誠信書房)
  • 諸富祥彦著『はじめてのカウンセリング入門・下 ほんものの傾聴を学ぶ』誠信書房