はじめに
これはREBT(アールイービーティー/論理療法)の入門記事です。
「15歳の君にも分かる」としたのは、私の娘がいま15歳で、来年は海外で生活する予定だから。これまでと違う環境で「サバイバル術」を身につけてほしいと願いつつ。
とはいえ、この記事は子供だけに向けたものではなくて、失敗したとき、物事がうまく進まないときの感情や行動のコントロール法に関心がある皆さんに役立つように書いています。
自分の中の「非合理的な思い込み」を発見し、変えていくREBTの方法、ぜひ参考にしてみてください。
REBT入門(1)うまくいかないときの方法
君だって知ってるよね。世の中いいことばかり続かないってこと。うまくいくこともあれば、失敗ばかりで落ち込むこともある。
だけど安心して。うまくいかないときには、いかないときなりの方法がある!
そのひとつ、REBT(論理療法/ラショナルセラピー)を紹介するよ。
REBTとは?
正式名称はRational Emotive Behavior Therapy。直訳すると「理性感情行動療法」。
もともとは Rational Therapy(ラショナルセラピー/論理療法)と呼ばれていた。つまり、Rational(理性的・合理的な)という言葉がキーワードだ。
「失敗して」→「落ち込む」パターン
ちょっと自分を振り返ってみよう。誰にでも、こんな経験があるのではないだろうか。
- 「失敗して」→「落ち込む」
- 「評価が低くて」→「惨めな気持ちになる」
- 「無視されて」→「怒る」
- 「好きな人が他の人と仲良くしていて」→「嫉妬する」
どの場合も、前半は「ネガティブな出来事」。後半は「ネガティブな感情や行動」。
この前半と後半は必然的につながっているように見える。
何らかの出来事をきっかけに、ネガティブな感情に支配されて、自分がコントロールできなくなる経験あるよね。
2通りの問題解決法
では、この連鎖や悪循環から脱出するにはどうすればいいか。
方法は、大きく分けて2つある。
(1)出来事を変える
(2)自分を変える
たとえば、「お金がなくて、不安でしかたがない」という状態があるとする。
(1)の解決法は、「出来事を変える」。たとえば…
- 仕事やアルバイトを探す。
- お金をもらう/借りる。
- 馬券や宝くじを買う。
方法の良し悪しは別として、とにかく「お金がない状態を何とかする」という「周りの現実や出来事」を変える方法だ。
一方、(2)の解決法は、「自分を変える」。
つまり「お金がない」という状態は変わらないけれど、「不安でしかたない」という自分の感情を変える方法。
REBTが効果を発揮するのはこの2番めの解決法。つまり、周りではなく、まずは自分を変える方法になる。
念のため言っておくと、この(1)(2)は、決して二者択一ではないよ。
「お金がなくて不安」というとき、やみくもに落ち込んだりパニックになったりするのではなく、まずは心を落ち着かせる(2)。
そのうえで現実的な問題解決に取り組む(1)という順序を経ればいいわけ。
(2)心理的な問題解決→(1)現実的な問題解決
これはけっして遠回りではないはず。
要は、心理的な問題解決と現実的な問題解決を連動させればいいわけだ。そのうちの(2)がREBTがカバーする範囲ということ。
REBTの具体的方法は?
それでは、REBTは具体的にどんな方法なんだろう。また、そこに「ラショナル」(rational, 理性的・合理的)というキーワードがどう関わってくるんだろう?
その答えとして、REBTにはシンプルな「ABC理論」があります。
この記事ではもちろんそのABC理論を紹介するわけだけど、その前に少し、REBTの創始者であるアルバート・エリス博士の少年時代のエピソードを紹介することにしよう。
↓