前回はイラショナルビリーフ(不合理な思い込み)についての記事だったね。
ABC理論をまとめると、こんなふうに言えそうだ。
- (A)出来事が(C)結果(感情)を決めるのではない。
- その人の(B)(ビリーフ、思い込み)が決める。
- だから(B)を変えてやればいい。
では、どうやって(B)を変えるのか? (B)は手強いぞ!
REBT入門(6)ABCの後はD=ツッコミを入れる
○ABCDE理論
実は、ABC理論には続きがある。それはABCDE理論というんだ。
A:出来事(Activating Event)
B:ビリーフ(Belief)
C:結果(Consequence)
ABCの次の(D)は何かと言うと、「論駁(ろんばく)」。英語ではDisputeという。
「論駁」が難しければ、「ガンコなBに対してツッコミを入れる」と考えてもいいよ。
「そのB(信念)は本当?」「どんな証拠があるの?」「そのBを持ってると役に立つの?」と、問いかけるんだ。面白そうだと思わない?
○3種類のツッコミ
ツッコミのしかたはいろいろだ。ここでは3種類のツッコミ(論駁)を紹介しよう。
1.論理的な観点からイラショナルビリーフに突っ込む。
たとえば、「試験に不合格だったから自分はダメ人間だ」と思い込んでいる人には、「なぜダメ人間だといえるのか。証明してみて」と尋ねてみる。
もし漠然と「自分の価値は合格・不合格で決まる」と思っているなら、そこにツッコミどころがあるはずだ。
2.経験的な観点からイラショナルビリーフに突っ込む
たとえば「相手に好かれたい」は自然な願望だ。
だけどそれがエスカレートして、「絶対に好かれなければならない(そうでなければおしまいだ)」となってしまうと、生活に支障をきたすことになる。
そんな人には、「それが本当なら好かれているはずなのに、現実はそうなってないよね」とか「『好かれなければならない』という証拠はどこに?」と、ツッコミを入れることができる。
3.実用的な側面から突っ込む
その考えや思い込みを持つことが自分を助けてくれる(helpful)かどうかの観点からツッコミを入れることもできる。
「つぎの仕事で失敗したらおしまいだ」だと緊張するあまり身動きが取れなくなっている人には「そのビリーフを持つことが自分にとってトクになるか?」と尋ねてみる。
その思い込みをやわらげて、「失敗したら残念だけど、それでも決しておしまいじゃない。次に進んでいける」という新しい考えをもつほうが、少なくとも次の行動に向かっていけるようになる。
…こんなふうに、REBTでは「ネバナラヌ」(「怖い」「耐えられない」「価値がない」)という頑ななビリーフに対して、いろんな側面からツッコミを入れて柔軟なビリーフへの変換をうながすんだ。
○自分との対話とセルフヘルプ
このREBTの方法は、カウンセリングの現場では、カウンセラーがツッコミ役となって(D)、ビリーフ(B)の改善をうながす。
でも、わざわざ人に頼らなくても、自分自身でABCを見つけ出し、そこにツッコミを入れてもOKだ。
これは、いわば「自分との対話」になる。
自分のなかの問題を明確にして現実的、論理的、科学的な側面から検証。そして感情や行動を改善するのがREBTの方法だ。
そうやってセルフヘルプにも使えるのが、REBTの特徴のひとつだね。
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