ソウル・西大門刑務所歴史館と傾聴的方法(2)

3つの方法

さて、日本支配下の韓国で独立運動家たちが収監された西大門(ソデムン)刑務所歴史館。もし皆さんが訪れるとしたら、どんな心構えで見学しますか?

前回記事:ソウル・西大門刑務所歴史館と傾聴的方法(1)

西大門刑務所歴史館の入館チケット

なぜ私がこんなことを尋ねるかというと、コミュニケーションについての面白いテーマがここにあると思うからなんです。

ネット検索するとわかりますが、この施設を見学する日本人の反応は大きく2つに分類できます。

  1. 日韓の負の歴史を学び、反省・謝罪する
  2. 展示の間違いや誇張を指摘し、反論する

もちろん、誰もがはっきりと1と2に分かれるわけではなく、1(反省・謝罪すべきか)と2(何が事実なのか)を巡って、それぞれの人がいろんな意見を述べています。

私は1と2どちらにもメリットとデメリットがあると考えていますが、ここで詳しく述べるのは控えておきます。

その代わりに私自身が試した、1でも2でもない第3の方法についてご紹介します。それをとりあえず「傾聴的方法」と呼んでおきましょう。

 

「傾聴的方法」とは?

「人と人との関係」にたとえてみる

西大門刑務所歴史館の展示内容をひとことで表すと、「韓国人が日本人からどんな酷い仕打ちを受けたか」になると私は思いました。

一方、今この記事を読んでい皆さんの中で、この「酷い仕打ち」に直接携わった人は、まずいないと思います。ほとんどの人にとっては生まれる前のできごとではないでしょうか。

それだけに、「どう反応したらいいの…」と困惑する人もいるはずです。

この西大門刑務所歴史館と見学するあなたの関係を「人と人との関係」にたとえてみましょう。

 

イラスト:「キミのオヤジにはひどい目にあわされた」と訴える人と、それを聞きながら「反省するか」「反論するか」とまどう人。

あなたの目の前に、険しい表情で訴えかけている人がいるとします。そして、その内容は「キミのオヤジにはひどい目にあわされた」ということだとしましょう。

このとき、皆さんならどんな風に受け答えしますか?

  1. 自分の家族の過ちについて、謝罪・反省する
  2. 相手の訴えの間違いや誇張を指摘し、反論する
  3. その他

あなたは1の方法を選ぶことも2の方法を選ぶこともできます。

ただ、そのどちらにも属さない第3の方法もあります。それは「傾聴する」です。

 

傾聴する人。相手の話をまず聞いてみうよう、気持ちを理解しようという態度。

傾聴のコツはいろいろありますが、ここでは大切なことを2つ挙げておきます。

  • 評価をくださない。つまり、「いい/わるい」「正しい/間違っている」「…すべき/…すべきでない」などの判断は保留にしておく。
  • 話の表面的な内容(事実関係)だけでなく、相手の「気持ち」を理解しようとする。

いかがでしょうか。

どの方法がベストなのかは別として最初の2つの方法と「傾聴的方法」の違いが伝われば幸いです。

歴史館の展示とあなたの関係

「人と人との関係」から「西大門刑務所歴史館」に話をもどすと、見学するときには少なくとも3つの方法があることになります。

  1. 負の歴史から学び、謝罪・反省する
  2. 展示の間違いや誇張を指摘し、反論する
  3. 傾聴する

 

  1. は「よい/わるい」「…すべき/…すべきでない」という評価を含む方法です。
  2. 事実について議論する方法です。

繰り返しますが、このどちらの方法を選ぶこともできます。これらの方法がダメなわけではありません。

しかし、傾聴はそのどちらの方法とも違います。

評価には踏み込まず、また事実について議論するのでもなく、目の前の相手が「何を伝えようとしているのか」「どんな気持ちで伝えようとしているのか」をそのまま理解しようとする方法です。

私はこの3番目の方法を押し付けるつもりはありませんが、皆さんのうちの何人かでも「選択肢を増やす」という意味で参考にしていただければ幸いです。

 

おまけ。歴史館を後にして

西大門刑務所歴史館を出るともう日が暮れかけていましたが、私とS君は少し欲張ってソウルの名所を回りました。

景福宮

景福宮(けいふくきゅう/キョンボックン)。朝鮮王朝(1392-1897)の王宮です。韓服(いわゆるチマチョゴリ)姿の女性も。

ソウル市庁前広場

ソウル市庁前の広場。ここは休日にデモが行われることで有名です。この日は、朴槿恵元大統領を支持する人たちが目立っていました。ほかにセウォル号関係も。

ミョンドン。夜の人混み

庶民的な食堂で。筆者と友人。

ソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)の路地裏にある庶民的な食堂で遅めの夕食。韓国でマッコリは「おじさんのお酒」というイメージが強く、若者には焼酎が人気なのだとか。

以上、朝のスピーチクラブ参加から夜の明洞まで、充実したソウルの一日でした。

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