ドーナツのド♪ 論理療法ABCDEの日本語バージョン
♪〜ドはドーナツのド、レはレモンのレ〜
おなじみ「ドレミの歌」の英語のオリジナル版は次のようになっています。知ってました?
ドは deer(鹿)
レは ray(日差し)
ミは me(わたし)
ファは far(遠く)
ソは saw(縫い物)
ラは ソの次の音符
ティは tea(お茶)
これを歌手のペギー葉山さんが ドはドーナツのド、レはレモンのレ、ミはみんなのミ…と日本語版を作詞したのですね。
それをまねして(!)論理療法のABCDEモデルの日本語バージョンを作ってみました。
これはお試し版なので、もっといい言葉が見つかったら改良するつもりです。
論理療法・日本語版(お試しver.)
たとえば、「LINEで既読スルーされた。嫌われているか不安でしかたない」というケースで考えてみましょう。
○「A」 あったこと・できごと
Aは「あったこと・できごと」。この場合なら「LINEで既読スルーされた」です。
一般常識では、このような「出来事」が「不安」の原因だとされますが、認知行動療法のひとつ論理療法(REBT)では、そうは捉えません。なぜなら、同じ出来事に遭遇しても、人によって結果は異なるからです。
感情や行動といった結果を引き起こす原因は、外部の出来事ではなく、その人自身にあると考えます。
○「B」 べきの壁
Bは「ベキの壁」。
「LINEで既読スルーされた」というようなネガティブな出来事に遭遇しても、それが「不安」に直結するわけではありません。反応は人それぞれ。
ならば、「不安」を引き起こす原因はなにか?
それが「ベキの壁」です。
その人が心の中に「彼女はメッセージに必ず返事すべきだ。(そうでなければ耐えられない)」というような硬直した思い込みを抱えている場合に、「不安」の感情が生まれるのです。
○「C」 こまった結果
Cは「こまった結果」。「C」で「こ」なので、こじつけではありますが(笑)
「こまった結果=不健康でネガティブな結果」のことです。この場合は「不安」ですね。
論理療法では、ネガティブな感情自体は必ずしも悪いものとは考えません。
たとえば試験に失敗して、落胆したり残念に思ったりする。これはネガティブですが健康な感情です。(不合格のときに無理やりポジティブに変換する必要はありませんからね。24時間365日ポジティブであることには無理があります。)
ところが、試験に失敗したとき極度に落ち込んだり、他人に怒りをぶつけたりするようになると、こちらは「不健康でネガティブな感情」になります。日常生活に支障をきたし、本来やりたいことに集中できなくなるという意味で問題ありです。
その場合は「極度の落ち込み」(不健康でネガティブな感情)から「残念」(健康でネガティブな感情)への適正化を試みるのがいいでしょう。
同様に、今回例に挙げた既読スルーの場合なら、「不安」な感情を「まぁ気になるけど」程度に変換できればいいわけです。
○「D」 どーなの?
Dは「どーなの?」というツッコミ。
ツッコミの対象は既読スルーした相手ではなく、自分自身のB「ベキの壁」です。
「彼女はメッセージに必ず返事すべきだ(そうでなければ耐えられない)」というガンコな思い込みに対して、「なぜそう言えるの?」とか「それは論理的?」とか「証拠はある?」とか「そんな風に思い込むことで自分自身の助けになるの?」とか、いろんな側面からツッコミを入れます。
「ベキの壁」にはもともと大した根拠がないので、適切なやりとりをすれば、その頑固な思い込みを続ける理由もなくなります。
そこで「ベキの壁」よりも、現実に則した柔軟な考えに変換しようと決意できれば良いのです。
○「E」 いー結果
Eは「いー結果」。これは C「困った結果」に対応しています。
C「不安で何も手につかない」から E「気になるけれど、それはありうることだ」に変換できれば、いきなり絶好調とはいかないまでも、ほどほどのレベルで日常生活を続けることができます。
もちろん、頭で理解しただけでは逆戻りしてしまうこともよくあるので、Eを定着させるためにさまざまな工夫をすることになります。
○ABCDEのまとめ
以上、ABCDEをまとめると、次のようになります。
- A「あったこと・できごと」
- B「ベキの壁」
- C「こまった結果」
- D「どーなの?」
- E「いー結果」
常識では、A「あったこと・できごと」が C「困った結果」を引き起こす。
だけど、論理療法では、Aは単なるきっかけにすぎず、B「ベキの壁」が C「こまった結果」の原因となる、つまり、ガンコなBにD「どーなの?」とツッコミを入れ、柔軟な思考へと変換することで、E「いー結果」に変えることができると考えます。
♪ドはドーナツのド〜にならった論理療法の日本語版、いかがでしょうか。