【書評】魚住りえ著『たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる 聞く力の教科書』は実践的な良書

フリーアナウンサー・魚住りえ著『たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる 聞く力の教科書』(東洋経済)を読みました。

前著『話し方の教科書』につづく分かりやすくて実践的な良書です。「聞き方」「聞く力」を日常生活に役立ててみようと思う方には、最初の一冊としてオススメ!

魚住りえ『聞く力の教科書』の写真

 

具体的で役立つメソッド満載

この本では魚住式「聞き方メソッド」の3大柱として、①あいづち ②態度・しぐさ ③質問力 が挙げられています。

そのうえで、「嫌われる人のダメな聞き方——NG集」「どんな相手にも使える!8つの基本テクニック」「困った人への12の聞き方」「場面&シチュエーション別!使える聞き方&会話術」「インタビュー術7つの極意」など、彼女の経験に基づいた具体的なメソッドが惜しみなく公開されています。

たとえば、「内容に応じて声の高さとスピードを変える」(高くて早口/高くてゆっくり/低くて早口/低くてゆっくり)や「あいづちを打つ前に “1秒” 待つ」などは具体的に使える方法で「なるほど」と感心しました。(私はラジオのCMや番組を作っているので、改めて意識してみようと思いました笑)

 

傾聴の方法とも通じる

魚住さんは、カウンセラーが使う「傾聴」、あるいはジャーナリストや記者が使う高度な質問のテクニックではなく、「日常の中で誰もが使える “相手に好かれる、好印象をもってもらう” 聞き方」として、いろんな具体的方法を紹介しています。

たしかにカウンセラーやジャーナリストでない一般の人が楽しみながら学べる本になっていると思います。

ところが面白いのは、魚住さんの経験から導いたメソッドが、カウンセリングの基礎技術である傾聴と、かなり共通している部分があるのです。

魚住式「聞き方メソッド」3大柱のひとつ「あいづち」もそうなんですが、私がとくに注目したのは「共感」についてです。

A:「仕事がつらいんだ……。やっぱり営業って自分に合わないってつくづくわかったよ……。もう、辞めちゃおうかと思っているんだ……」

B:「そっか……仕事が大変なんだね。営業の仕事は、合う人と合わない人がいるみたいだよね」

A:「うん、ノルマがあってさ、達成できないと上司にグチグチ言われて……。営業成績も下のほうだし。がんばっても結果が出ないんだ」

B:「そうか……。それはつらいね」

 

このように気持ちに共感してもらうだけで、Aさんはかなり気持ちが落ち着きます。

「正しい答えを教えてもらう」よりも、「気持ちに寄り添い、共感してほしい」のです。

これは私たちが誰でももつ、共通の心理だと思います。

「相手の話に共感してあげること」は、私が最も大切にしている聞き方のポイントです。

そして、それは「おもてなしの聞き方」の極意でもあると思います。

(p74)

 

いかがでしょうか。このまま傾聴のテキストにも使えそうな例文と解説ですね。

魚住さん自身の経験と、傾聴の方法…いい人間関係を築く聞き方は、大切なところで見事に重なりあっているのだという気がします。

 

達人の高度な「聞き方スキル」

この本の「付録」のひとつに「りえが勝手に添削!著名人の聞き方スキル」という章があります。

黒柳徹子、マツコ・デラックス、阿川佐和子、中居正広&井ノ原快彦、池上彰というトークの達人の「聞き方」を魚住さんがリスペクトを込めて分析しています。

ここで興味深かったのは、達人たちの「聞き方」が必ずしもこの本で紹介している基本的なメソッド通りではないところです。

たとえば、マツコ・デラックスも中居正広も「あいづち」をほとんど打ちません。池上彰も選挙番組のときには相手が言いたいことを言い終わるまであいづちを打たず、「その話はもう十分」というといきに「はい、はい」とあいづちを打ちます(「もう時間なんだな」と相手に分からせるため)。

「達人たちの受け答えが基本どおりでないのはどういう訳なんだろう?」…私はちょっと考えてから、こんな風に思いました。

「あいづちを打つ」など一つ一つの型にこだわることが大切なのではない。相手の話を(気持ちの部分まで)正確に理解すること。そしてその理解を相手に伝え返すことが「聞くこと」の本質なのだ、と。

あいづちの仕方はさまざまです。人によってはほとんどあいづちを打たないというスタイルもあるでしょう。でもひとつひとつが教科書どおりかということよりも、「自分が相手を理解していること」「その理解を相手に伝え返せること」が大切なのです。

そんなことにも改めて気付かされました。

 

まとめ

『たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる 聞く力の教科書』(魚住りえ著/東洋経済)。

まとめると、私は本書を読んでこんなふうに思いました。

  • 前著『話し方の教科書』につづく、分かりやすくて実践的な良書である。
  • 具体的で役立つメソッドが多数紹介されている。
  • (著者がどこまで意識しているか分からないけれど)傾聴の方法とも本質的に通じる部分がある。
  • トーク&聞き方の達人のテクニックは多種多様。その本質は「相手の話を正確に理解し、それを相手に伝え返す」ところにある。(←私が考えたこと)

ご興味ある方はぜひ手にとって、1つでも2つでも実践してみてください。

 

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