ファシリテーションと問題解決の手順

少し前になりますが、日本ファシリテーション協会(FAJ)が主催する「ファシリテーション基礎講座」に参加しました。そこでわたしが強く感じたことがあります。それは「ファシリテーションの手順と、問題解決の手順には本質的な共通点がある」ということです。

 

◎ファシリテーションとは何か?

「ファシリテーション」とは、語源的にいえば「簡単にすること」です。フランス語の「簡単」はfacilité(ファシリテ)。英語のfacilityは「簡単にできる→機会がある」から「施設」という意味になりました。

【ファシリテーション】

「人々の活動が容易にできるように支援し、うまく運ぶように舵取りすること」

出典:FAJホームページ

 

ふだんの会議から長期にわたるプロジェクトまで、集団的な知的相互作用を支援・促進する働きが「ファシリテーション」、その役割を担う人がファシリテーターです。ファシリテーターには次のような役割があります。

  • 始まりから終わりまでプロセスを管理する。
  • 議論を一方向に誘導せず、中立的な立場で進める。
  • みんなの意見を引き出し、発展させ、まとめる。

従来型のリーダーが「自分が正しいと思う方向にみんなを導く役割」だとすれば、ファシリテーターは「みんなのアイデアを効率的に引き出し、まとめる役割」だといえます。

◎ファシリテーションと問題解決の手順

ファシリテーションの基本手順は4段階あります。

  1. 場をつくり目的とプロセスを明確にする
  2. 参加者全員からアイデアを引き出す
  3. アイデアを整理する
  4. 結論をまとめ、共有する

 

またこの4段階では次のようなスキルが求められます。

(1)場のデザインのスキル
たとえば会議の場合、「何となく集まって、何となく話をしたけど、何ひとつ決まらなかった」では非効率的です。「何のための会議なのか」(目的・Why)・「何を決めればいいのか」(目標・What)、「参加者は誰がいいか」、「どんなプロセスで進めるか」などを最初に共有します。参加者が初対面同士だったり、ポジションに上下関係がある場合、みんなが発言しやすい雰囲気をつくることもファシリテーターの役割になります。

(2)対人関係のスキル
つぎはアイデアを発散させる段階です。従来型の会議では発言者がごく一部にかぎられていたり、発言の重みに最初から差があったりすることがよくあります。それに対してファシリテーターは、参加者の発言をよく聞き、受けとめ、また引き出す役割を果たすことになります。

(3)構造化のスキル
発散させたアイデアは、収束させる必要があります。似たアイデアをグループ化したり、対立するアイデアを論点整理したりしながら、議論をわかりやすく整理します。従来型のリーダーのように1人でどんどん進めるのではなく、ロジカルシンキングや図解ツールを用いながら、参加者とプロセスを共有して進めます。

(4)合意形成のスキル
最後は決定、合意形成です。(3)までの段階で全員の意見が一致していることはまずありません。参加者各人にとっての最良の案は異なり、ときには対立しています。それを司会者や特定の人が結論を出すのではなく、また何でも多数決にすればいいわけでもなく、みんなが納得できる合意形成を図ることになります。当然そこには、ファシリテーターとしての技術が必要となります。

以上がファシリテーションの基本となる4つの手順とスキルです。

一方、問題解決一般の手順は4段階にまとめることができます。

【問題解決の手順】

(1)問題定義:問題を明確にする

(2)原因分析:現状と原因を分析する

(3)解決策の提案:アイデアを出す

(4)解決策の決定:アイデアを絞り込み、決定する

 

たとえば週末に彼女をデートに誘う場合だと次のようになります。

(1)デートはどこに行くか(問題定義)

(2)最近デートがマンネリ化して、わくわく感が薄れている etc. (原因分析)

(3)映画館、町の散策、イベント参加、ドライブ…(解決策の提案)

(4)○○に決定(解決策の決定)
ファシリテーションと問題解決の手順を比較した表

以上を比較すると、ファシリテーションの手順と問題解決の手順がよく似ていることがわかります。

会議やプロジェクトが何らかの問題解決を目指すものであるならば、その進行を支えるファシリテーションも同様の手順をたどることは、ある意味当然ともいえます。(また、ここで紹介したファシリテーションの基本形は「問題解決型ファシリテーション」と呼ばれています)

この意味でわたしはファシリテーションを「問題解決を容易にする(仏:faciliter)ための舵取り(進行管理)」なのだと捉えました。

 

◎ファシリテーションと質問スキル

ファシリテーションの基礎講座を受けて、わたしは2つの意味で質問のスキルと密接にかかわると思いました。

  1. ファシリテーションのプロセス自体が、「問いを立て、答えを見つける」という仕組みになっている。
  2. ファシリテーターは上記の4段階すべてにおいて、参加者に対して2つの「きく」技術(listen/ask)を発揮する必要がある。

 

(1)は上述したとおり、問題解決の手順自体が「問い→解決策(答え)」の構造をしているということです。
(2)については「従来型リーダー」と「ファシリテーター」の役割の違いを考えれば、質問スキルの重要性は自ずと明らかになると思います。これについては、改めて記事を書いてみたいです。

◎まとめ

・ファシリテーションとは「人々の活動が容易にできるように支援し、うまく運ぶように舵取りすること」
・ファシリテーションと問題解決の手順には本質的な共通点がある
・ファシリテーションにおいても質問スキルが重要になる(ただし、今回の記事では軽く触れただけ)

今回の記事が、みなさんにとって「問い→答え」を実現する技術としてのファシリテーションの理解に少しでも役立つと嬉しいです。

※この記事は旧ブログ「質問学」(2015-12-28)の転載です

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