「ごまんと」は「五万と」?「巨万と」? 図書館で調べてみた

フェイスブック友達、韓国人のSさんが日本語について興味深い投稿をしていました。許可をもらって、そのまま転載します。

「五万といる」という単語面白いですね。それくらい人が多いこと(?)。ところで何で7万でも8万でもない五万でしょうね(^^; 変なところに気が付きました。全く・・。

彼女のFB友達の日本人が「五万といる」という言葉を使っていて、それに対する反応です。

ところが、「非常にたくさん」という意味の「ごまんと」は「五万と」ではなく「巨万と」ではないかという人もいて、その話題が盛り上がっていたのです。

手元の辞書を見ると、広辞苑には「ごまんと」と平仮名だけが載っています。角川必携国語辞典には項目なし。古語辞典にもありませんでした。インターネットでは「巨万」が語源だと主張している人もいましたが、どうもはっきりしません。気になったので、図書館で調べることにしました。

最寄りのT図書館はあいにく改装中で、臨時開業のスペースでは辞書類を見ることができませんでした。

家から反対方向のY図書館には、国語辞典や語源辞典が何冊かありました。新明解国語辞典には「五万と」という表記が載っています。ある語源辞典には「巨万と」が語源だとありましたが、これは個人の研究者が書いたもので、信憑性には疑問がありました。

そのあと、足立区でいちばん大きい中央図書館に行きました。ぼくはそこをよく使うのですが、今回はさっと調べてすぐに家に戻ろうと思っていたので、中央図書館は後回しになっていたのです。

ここでいろんな辞書を見て、謎がだいたい解けました。Sさんの投稿へのぼくのコメントを転載します。

図書館であれこれ調べてみました。結論からいえば、「ごまんといる」と平仮名で書くのがいいと思います。あえて漢字を当てるなら「五万といる」ですね。(辞書に使用例が載っているので)

まず、この言葉は古語辞典には載っていないので、明治以降の新しい言葉だと思います。

国語辞典の表記はだいたい平仮名です。三省堂の新明解国語辞典は、当て字という説明付きで「五万と」になっています。

辞書の説明

いちばん詳しかったのは、小学館の日本国語大辞典です。1936年(昭和11年)の使用例で「まったく五万と押寄せます」という使用例が載っています。

この辞典では、語源を「数量が多いさまを表す近世語『まんと』からか」し、「俗に『五万と』と当てることもある」と漢字について説明しています。

辞書の説明

インターネット上では「ごまんと」の語源が「巨万」だとしている人もいますね。また、個人の研究者が書いた語源辞典で「巨万」が語源だとしているものも1冊ありました。

でも、僕がいろいろ見たかぎりでは、比較的新しい言葉である「ごまんと」の語源が「巨万」だという説にそこまで信憑性があるとは思えませんでした。また、どの辞書にも「巨万と」という表記や使用例はありませんでした。

辞書の説明

以上、まとめると…

・「ごまんと」はおそらく明治以降の新しい言葉。(辞書に載っている使用例は1936年)
・通常は「ごまんと」と平仮名で書く。当て字として「五万と」という表記もある。
・語源は、数量が多いことを表す「まんと」から(日本国語大辞典)。また「巨万」からとしている人もいる。

【結論】これらを総合すると、「ごまんと」と平仮名表記するのがよさそう。(「五万と」も一応OK)

3つの図書館を自転車で回って時間がかかりましたが、その甲斐あって、自分なりに回答を見つけることができました。疑問に思ったことを調べてスッキリするのは嬉しいものですね。

ネット時代になって、図書館は行かないという方もいらっしゃるかもしれません。たまには足を使って調べてみるのもいいですよ。

 

※この記事は旧ブログ(「質問学」)2016年12月11日の記事を転載しました。

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