高校生娘とどう話す〜MI(動機づけ面接)コーディング研修に参加して

先週末、「傾聴しながらガイドする」コミュニケーションスキル「動機づけ面接」(MI)の2日間コーディング研修に参加しました。

コーディングとは、フィギュアスケートでいえば技術や振り付けの採点法のようなもの。

「質問」「説得」「情報提供」「単純な聞き返し」「複雑な聞き返し」「是認」などの要素をカウントし、カウンセリング/セラピーがどの程度MIの面接になっているかを客観的に評価します。

それだけではピンとこないと思うので、イメージをつかんでいただくために、僕が高校生の長女と行った会話を取り上げてみます。

○留学中の娘とライン通話

研修を受けた日の夜、たまたま娘とライン電話で話す機会がありました。

彼女は海外留学中なので、ほぼ2ヶ月ぶりの会話です。

留学先では次のような状況。(適当にアレンジしています)

(現状)

オーストラリアの高校に留学して3ヶ月。楽しくすごしている。

でも最近「このままだとマズイ」と思うようになってきた。

学校は宿題もなく、帰宅後は自由な時間が多い。

英語のコミュニケーションに慣れてきた一方、英語力が一直線に伸びるわけでもないことも分かってきた。

このままだと、帰国したときに「もっとやっておけばよかった」と後悔しそう。

同じ高校にはもう1人日本人留学生がいる。

そちらは(日本の)学校の方針もあって、毎日帰宅後、3時間勉強しているらしい。

さて、こんなとき、あなたが僕の立場なら娘にどんな言葉をかけますか?

イラスト「娘と何を話す?」

 

○話し方はいろいろ

話し方に唯一の正解はありません。

いくつかリストアップしてみますね。

 

○反対したり、レッテルを貼ったり、バカにしたりする(Confront)

「ボーッと過ごしていちゃダメじゃないか」

「まだまだ消極的すぎる。外国にいっても進歩がない」

など、反対したり、レッテルを貼ったり、バカにしたりする。

イラスト「ダメじゃん」

 

○説得する(Persuade)

「日本にもどったら大学受験があるんだから、余った時間はちゃんと勉強するべきだよ」

「英語力をあげたいなら、スピーチのコンテストに参加してみたら?オススメだよ」

など、説得する。

 

○許容を伴いながら説得する(Persuade with Permission)

同じ説得でも、一方的にするのではなく、相手の許容をともなう範囲内で行う。

たとえば、直接許可を得る場合だと…

父:「ちょっとアドバイスがあるんだけど、言ってもいいかな?」

娘:「うん。いいよ」

父:「英語力をあげたいなら、スピーチのコンテストに参加してみたらどうかな。理由を挙げると…」

ほかにも、相手から意見やアドバイスを求められた場合もこれにあてはまります。あるいはこちらの意見やアドバイスをを相手が断ったり選んだりする自由があることを伝えて、説得の強さを弱める場合なども。

 

○質問する(Question)

「日本に帰ってくるときには、どんな風になっていたい?

「英語力を上げるためにさらにできることがあるとしたら、どんなことが思いつく?」

など、質問をする。

 

○情報を与える(Giving Information)

「僕の友達は海外留学中にこんな工夫をしていたよ」

「英語力を底上げしたいなら、この単語帳が評判いいよ」

など、情報を与える。

 

○単純な聞き返し(Simple Reflection)

娘の言葉を繰り返して、相手を受け入れ、理解していることを示す。

たとえば…

「そっか…今のままではマズイと思っているんだね」

「毎日家で勉強している同級生が気になってる…」

イラスト「そうなんだね」

 

○複雑な聞き返し(Complexed Reflection)

娘の言葉をそのまま返すのではなく、さらに思いや価値観を掘り下げるかたちで返答する。

たとえば…

「将来について今何ができるか考えているんだね…」

「英語について、さらに上達するためのいい方法があったら試したいと思っている…」

 

○是認/いいところを認める(Affirmation)

「現状に満足するのではなく、もっと向上したいと思っているところがいいね!」

「留学の機会をもっと充実させたいと考えているところに、正直感激したよ」

など、いいところ取り上げて肯定する。

 

○パートナーシップをさぐる(Seek Collaboration)

「だったら放課後の時間の使い方について、一緒にアイデアを出し合ってみるのはどうだろう?」

など、対等な立場で協力しながら話を進めようとする。

 

○自立性を重要視する(Emphasizing Autonomy)

「いろんな考え方があるけど、結局は自分で決めればいいことなんだよ」

「自分がどうしたいか一番よく分かっているのは自分だもんね。」

など、相手に決断する自由があることを強調する。

イラスト「自分で決めていい」

 

…以上、いかがでしょうか。

相手への答え方、コミュニケーションのとり方にもいろんな種類があることが分かりますね。

 

○MI(動機づけ面接)の方法

ここでは娘と話した状況を例にしてみましたが、カウンセリングにおけるカウンセラーの発言も同じように分類することができます。

それによってカウンセリングの特徴も大きく変わります。

たとえば、さっきのリストのなかでAパターンの対応とBパターンの対応では、どちらがMIの方法と一致していると思いますか?

 

(Aパターン)

説得する(Persuade)

「帰国したら次は大学受験があるんだから、いま時間があるなら絶対に勉強するべきだよ」

反対したり、レッテルを貼ったり、馬鹿にしたりする(Confront)

「せっかく留学してるのに時間を無駄にしてるって。ダメじゃないか」

イラスト「ダメじゃん」

 

(Bパターン)

是認/いいところを認める(Affirmation)

「現状に満足するのではなく、もっと向上したいと思っているところがいいね!」

パートナーシップをさぐる(Seek Collaboration)

「放課後の時間の使い方について、一緒にアイデアを出し合ってみるのはどうかな」

自律性を重要視する(Emphasizing Autonomy)

「いろんな考え方があるけど、結局は自分で決めればいいことなんだよ」

イラスト「自分で決めていい」

 

もちろん、BパターンがMIと一致した発言です。

(実際には文字だけではなく、声のトーンなども含めて判断します)

 

○コーディングのワークショップ

今回、コーディングのワークショップに参加して、MIの特徴が改めてわかった気がします。

  • エビデンスを重視した面接スタイルである。(客観的な判断基準を明確にする)
  • 特定の心理療法ではなく、コミュニケーションの方法・スタイルである。(たとえば、REBTと組み合わせて活用できる)
  • 「傾聴しながら、ガイドする」という特徴が、具体的な採点基準としてよく現れている。

コーディングのマニュアルも進化していて、最新バージョン(MITI 4.2.1)に基づいた本格的なワークショップは今回が日本初開催だったそうです。(主催:Coding lab Japan

今後はコーディングの技術も取り入れながら、MIの学習を深めていきたいと思います。

コーディング、テキストの写真

 

※この記事ではコーディングの「総合評価(global scores)」「行動カウント(behavior counts)」のうち、主に行動カウントを取り上げました。

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