マンガでわかるMI(動機づけ面接)の特徴〜禁煙編
まずはこの4コマ漫画をどうぞ。(がんばって描きました!)
これは従来型の禁煙支援…というより、アドバイスしようとして失敗しているパターンですね。
イソップ寓話の「北風と太陽」と同じで、人はいくら押し付けられても、変化(禁煙)することはできません。
自ら「変わりたい」「こうなりたい」と言葉を発することで初めて変わることができるのです!
そんな、人本来の特性をうまく活かしたコミュニケーションスキルが「動機づけ面接」(MI)です。
○MIの特徴は?〜禁煙サポートの場合
前回、MIのコーディングについてお話しました。
(記事)高校生娘とどう話す〜MI(動機づけ面接)コーディング研修に参加して
コーディングは、フィギュアスケートに例えれば、技術や振り付けの採点法のようなもの。「質問」「説得」「聞き返し」などの要素をカウントし、カウンセリング/セラピーがどの程度MIの面接になっているかを評価します。
これを禁煙支援に当てはめるとどうなるでしょう?
たとえば「禁煙したい気持ちもあるけど、タバコがない人生は味気ない。禁煙には不安がある」という人に対して、あなたならどんな声をかけますか?
Aパターン:説得、対立的なアプローチ
○説得する(Persuade)
「がんになりたくなければ、タバコは絶対やめるべきですよ」
「とにかくこの方法でやってみましょう!」
「タバコを止めたら、人生がどれだけ豊かになるかご存知ないでしょう」
○反対したり、レッテルを貼ったり、バカにしたりする(Confront)
「またできなかったんですか!」
「自分の健康管理ができないのは、家族の大黒柱として情けないとは思わないんですか!」
「あなたはタバコ会社に騙されているんですよ!」
Bパターン:パートナーシップを大切にしたアプローチ
○是認/いいところを認める(Affirmation)
相手のいいところを肯定し、認める。そこを強調する。
「1週間禁煙ができて誇らしい気持ちでいらっしゃる。努力が報われましたね」
「家族にたいして責任を果たしたいと思っておられる」
○パートナーシップを築く(Seek Collaboration)
「禁煙を成功させるために役立つ情報がありますが、それについて少し話し合ってみるのはいかがでしょう」
「このことについて、私はどんなお手伝いができそうですか」
○自立性を強調する(Emphasizing Autonomy)
「あなたのことが一番分かっているのはあなたご自身です。禁煙の計画はどうすればいいと考えていますか?」
「この提案を採用するかどうかは、もちろんあなたがお決めになってくださって構いません」
MIに特徴的なのは後者のアプローチですね。
こちらも4コマ漫画を描いてみましたよ。
禁煙支援のお医者さんの間でも、いまMIが浸透してきています。
全国各地でMIの研修、ワークショップ、練習会が開かれています。
もちろん禁煙だけではなく、司法分野、たとえば少年院の援助職で、「以前は相手を変えようとしても変わらなくて、自分も相手も疲弊していたけれど、MIを導入してからはお互いに疲れず、相手の気持ちを受け止めながらサポートできるようになった」という人もいます。
禁煙の常識も、対人サポート技術も、MIの導入でどんどん変わっていくかもしれませんね。