傾聴とMIを統合しました!〜サイト再構成

最近数日、この「きくこといいこと」サイトの再構成を行っています。多くの記事が雑然とある状態から、「何のためのサイトなのか」の流れを整理します。

○「きくこといいこと」サイトの構成

サイト全体のキャッチフレーズは「セルフヘルプの学習サイト」に。

サイトトップ画像「きくこといいこと セルフヘルプの学習サイト」

そして、3つの主要カテゴリーは以下のように整理しました。

(1)セルフヘルプ(REBT)

「セルフヘルプ」は文字どおり「自分を助けること」。「不安」「怒り」「落ち込み」などの感情をコントロールして、自分らしさを活かしながら目標へと行動しやすくなる方法を紹介します。

キーワードは「柔軟性」(flexibility)。アルバート・エリス博士のREBT(論理療法)を軸に、「硬直した考え」よりも「柔軟な考え」を選ぶことで、感情や行動のコントロールを学びます。

REBT

(2)聞く力(傾聴とMI)

「聞く力」では、身近な人をサポートするためのコミュニケーション技術として、傾聴とMI(動機づけ面接)を紹介します。

鍵となる考え方は「共感的に理解すること」。困っている人に対して「正解」を一方的に押し付けるのではなく(うまく行かないことが多い)、まずは相手の気持ちや考えを丁寧に理解するところから始めます。そのスキルが傾聴とMIです。

一緒に探索するイラスト

(3)ハートのフィットネスクラブ

さらに、(1)(2)を実践的に学べる場として、オンラインサロン「ハートのフィットネスクラブ」を用意しました。

月に1回のイベントや「OARS(オールズ)傾聴教室」に継続的に参加することで、「セルフヘルプ」(自分を助ける技術)と「聞く力」(他人をサポートする基礎技術)を学ぶことができます。

ハートのフィットネスクラブ・トップ画像

以上のように、「きくこといいこと」自体を「セルフヘルプの学習サイト」として育てていくつもりです。

○傾聴とMIを統合しました!

ちなみに、先週までは、主要な3つのカテゴリーは「REBT」「動機づけ面接(MI)」「傾聴」でした。

ところが、最近は傾聴の記事を書いてもMIの記事を書いても、カテゴリーとしては「傾聴」「動機づけ面接(MI)」の両方を当てはめることになっていました。

記事を書けば書くほど、私としては、この2つは地続きのものだという思いが強くなりました。

さらに、MIの基礎スキルである「OARS(オールズ)」を用いて「OARSで学ぶ傾聴教室」のワークショップを行ったり動画教材をつくるようになって、ますますその確信は深まりました。

○なぜ傾聴とMIは同じカテゴリーなのか?

「傾聴」とは、簡単に言えば「相手を暖かく受け入れ、共感的に理解する聞き方」です。アメリカの心理学者カール・ロジャーズ(1902〜1987)の来談者中心療法の技法が元になっています。その中心となる技術は「聞き返し」(reflection)です。

(関連記事)傾聴の元祖!カール・ロジャーズ入門

1950年代ごろ、ロジャーズは、「受容」や「共感」などいくつかの条件が揃うことで、人は自然といい方向へと変化するのだと考えました。

一方、1980年代以降の研究でも、このロジャーズが提唱した「共感的に理解する聞き方」がクライエントの変化に大きく役立つことが分かっています。

一緒に探索するイラスト

また、最近の研究では「共感的に理解する聞き方」に加えて、「何を重点的に聞くか」によっても行動変容が促進されることが明らかになってきました。

「何を聞くか」…これは簡単に言えば「変化したい気持ち」に焦点を当てて聞くのです。

たとえば「禁煙したいけど、自信がない」という人に対して傾聴を行うときには、最初はその人のいろんな気持ちや考えをすべて暖かく受け入れます。そして、十分な信頼関係ができて変わりたい方向が定まった後は、「変わりたい=禁煙したい」という方向に光を当てて聞きます。そうすることで、より行動変容が促進されるのです。

傾聴は、それ自体が素晴らしいコミュニケーションスキルですが、動機づけ面接の発展によって、より実践的に医療や司法、教育の場で活かされやすくなってきています。

  • 傾聴:どう聞くか?(HOW)=「共感的に聞く」
  • MI:何を聞くか?(HOW+WHAT)=「共感的に聞く」+「変わりたい気持ちを聞く」

ざっくり、こんな風に考えてみればいいのではないでしょうか。

○傾聴とMIの橋渡し

医療分野や大学でMIを教えている方々に話を聞くと、「動機づけ面接は難しそう」「テクニック中心?」というイメージを持って避けている人もまだまだ多いそうです。

でもそんな人も、日常生活の中では、ポジティブな面にフォーカスを当てることをあれこれと行っていたりします。

ネガティブな側面ではなく、「明るい」「ポジティブな」「変わりたい」方向にスポットライトを当てる。シンプルにそう考えれば、動機づけ面接にも親しみやすくなるかもしれません。

一方、コミュニケーションの基礎となる「傾聴」の大切さは、いくら強調しすぎてもしすぎることはありません。

MIでは「チェンジトーク(変わりたい気持ちを示す言葉)を引き出す」ことが大きな特徴ですが、私が開催している「OARSで学ぶ傾聴教室」では、今のところそこには直接踏み込まずに、傾聴的な部分、つまり「相手を理解する共感的な聞き方」を練習しています。

この基礎的な傾聴の部分だけでも十分奥深く、また効果があるので、先を急ぐよりは傾聴をある程度しっかり身につけることが大事だと考えているからです。

そんなわけで、私としては、「傾聴」と「MI」のどちらにも敬意を払いつつ、橋渡し的な役割が果たせるといいなと考えているのです。

※「OARSで学ぶ傾聴教室」に興味が湧いた方は、こちらのページをぜひご覧ください。YouTube動画、オンラインワークショップ、どちらもオススメですよ。

藤本祥和(REBT心理士/動機づけ面接トレーナー(MINTメンバー)/ハートのフィットネスクラブ主宰)

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