「傾聴サポーター」になりました

一般社団法人 日本傾聴能力開発協会(JKDA)の「傾聴サポーター」という資格を取得しました。これは心理カウンセラーの岩松正史さんが主宰する傾聴の学校のようなもので、規定のカリキュラムを修了したということです。

「傾聴」という言葉は「相手の話をよく聞くこと」という広い意味で使われることも多いですが、私が教わった傾聴は心理面に特化したスキルになります。

◎傾聴とは?

傾聴とはなにか。傾聴という概念の創始者カール・ロジャース(1902-1987)の翻訳者でもある諸富祥彦・明治大学教授の本から引用してみます。

「プロのおこなうカウンセリング」であれ、「一般の人がおこなうカウンセリング的かかわり」であれ、「気持ちと気持ちのつながり(リレーション)」のある「援助的人間関係」がその基本となります。
ではその「援助的人間関係」の確立には何が重要なのかというと、それはやはり「傾聴」です。相手の話にていねいに耳を傾けて、こころのひだまで「聴いていく」姿勢。
「傾聴」があらゆるカウンセリングで最も重要なものです。

『新しい カウンセリングの技法』(諸富祥彦著/誠信書房)p17 太字は引用者

いかがでしょう。これを踏まえて私なりに再定義すると、こんなふうになります。

傾聴とは、相手の話にていねいに耳を傾けて、その主訴(要するに伝えたい気持ち)を理解し共有する技術である。

◎主訴(しゅそ)とは何か?

ここで私は「主訴(要するに伝えたい気持ち)」と書きました。これはどういうことでしょう。

たとえば、こんな例で考えてみます。目の前にいる相手が「先月、生まれて初めてハワイに行ってきました」という話を始めたとします。この人は、どんな気持ちでこの話題を出したのでしょうか。「楽しい気持ち」でしょうか?

これは、いろんな可能性が考えられます。

もちろん、「楽しかった気持ち」を伝えたかったこともありえるでしょう。でもそうではなく、「ハワイに行った。だけど、一緒に旅行した友達と喧嘩してしまった。それ以来、関係がギクシャクして困っている」という悩みの話かもしれません。

あるいは、表向きは「楽しかった」という話なのだけれど、その人の気持ちとしては「リア充をアピールしたい」なのかもしれません。

「今まで日本を出たことがなかったけど初めて海外にいけてよかった。コンプレックスが解消できてホッとした」という気持ちだったり、「初めて海外にいけてよかったけれど、日本と変わらないと感じた。がっかりした」ということかもしれません。
「ハワイの禁煙状況を調べに行って先進的な例がわかった。それに比べて日本は遅れていて、イライラしちゃう」という気持ちかもしれません。

このように同じような話でも気持ちは様々です。話す本人が自分の気持ちに気づいていないこともあります。

なのにその気持ちを無視して、「ああ、ハワイね。俺は3回行ったことあるんだけど、やっぱり一番のオススメは○○だよね」と話しはじめては、相手に「理解してもらっている」とは思ってもらえないでしょう。
だからこそ、「主訴(要するに伝えたい気持ち)」を丁寧に理解しようとする傾聴のスキルが役立つのです。

「上司がいかにひどいか」を話し続ける人の「要するに伝えたい気持ち」は、必ずしも上司の問題ではなく、「だれも自分を認めてくれない。自分を認めてほしい」という気持ちかもしれません。そのような主訴をどうくみとるかが課題となります。

◎自分と自分の関係

JKDA岩松さんの講座では「自分と自分の関係」を傾聴の基本におきます。簡単にいえば、自分自身の良き理解者になることで、相手の話も聴けるようになります。

(1)自分⇔自分
まず、傾聴する人自身が、自分の心の状態(楽しい、悲しい、イライラしている…)を自分で見つめ、そのまま受け入れられるようにします。

(2)自分⇔相手
傾聴するときには、相手の気持ちの部分にフォーカスすると同時に、そのときおこる自分自身の気持ちの変化にもフォーカスしながら、相手の気持ちをていねいに確認します。

(3)相手⇔相手
傾聴によって「気持ちがわかってもらえた」という経験を重ねることで、その相手も自分の気持ちを見つめ、自らの存在を肯定的に受容できるようになります。

このあたりの説明は人によっても異なりますが、私の場合は、岩松さんの話を基本にしながら、諸富氏の著書で確認するように心がけています。

◎いっしょに踊る(スキルの例)

傾聴にはいろんなスキルがありますが、私が面白いと思ったものを1つ紹介します。

相手の話をよく聴くためには、自分のテンションは高い方がいいのでしょうか。それとも、いつもどっしり落ち着いている方がいいのでしょうか?

その答えは「いっしょに踊る」です。

相手が楽しい話をしていてテンションが高いときには同じように盛り上がって聴く。相手が悲しい話をしているときには同じように静かな態度で聴く、というように、気持ちの抑揚とリズムを相手に合わせます。
そうすることで相手との信頼感が増し、傾聴の基礎技術である「うなずき」「あいづち」「要約」などもやりやすくなります。

「いっしょに踊る」という技法は日常生活でも効果があるので、よかったら試してみてください。

◎今後について

今回、「傾聴サポーター」の認定資格を取得したとはいえ、スキルを使えるためには、今後も経験を重ねていく必要があります。傾聴の理論や技術について、あるいはお茶でも飲みながら話を聴いてほしいという方がいらっしゃったら、気軽に声をかけてください。

※この記事は旧ブログ「質問学」(2016-03-20)の転載です

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