人間だものカタログ「大衆からのぎろん」

みんなが言うことを真に受けて自殺しようとする男のイラスト

 

アンデルセン童話「裸の王様」
最初に機織りの具合をたしかめにいったのは、年老いた大臣でした。大臣は自分の目に何も見えないことを恥ずかしく思って、王様にうその報告をします。
つぎに見にいったのは役人でした。役人も、自分だけバカがばれるわけにはいかないと、王様にうその報告をします。
さてその後、王様は大勢の家来を従えて機織りの進み具合をたしかめにいきます。先に見に行った大臣と役人も見えない織り物をほめたたえます。王様は、自分が地位にふさわしくないと気づかれないように、「美しい。気に入った!」と絶賛するのです。他の家来たちも、もちろん自分だけ何も見えないなどと言うわけにはいきません…。

「みんなが言ってるから○○だ」という考え方を「大衆からの議論」といいます。
ある主張の正しさを、「どんな筋道でその結論が導かれたか」という中身ではなく、「みんながそういっているから」という発言者の側に求める思考法です。
みんながいいというモノ、みんなが正しいということと、自分の考えが違っていると、誰でも不安になります。また、みんなの考えに合わせていると、自分だけが笑われたり責められたりすることはなくなります。その意味で、「大衆からの議論」はなかなか使い勝手がいいのです。

でも覚えておいてください。ダーウィンの進化論や、アインシュタインの相対性理論、ウェゲナーの大陸移動説など、みんなが思っていることを根本から引っくり返す大発見は、いつも考えに考え抜いた人の頭のなかからでてくることも。

※この記事は旧ブログ「質問学」(2012-02-21)の転載です

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