REBTを使う:ネットで攻撃されたときに役立つ3つの対処法
ときどき「フジモトさんは穏やかでいいですね」と言われることがあります。
そう聞くと、少し複雑な気持ちになります。
私をきらっている人や、離れていく人も、たくさんいるのになあと。
10年以上前ですが、しょっちゅうネットで議論をしていました。
「禁煙はファシズムだ」「受動喫煙の害はデタラメだ」と主張する人たちがいて、こちらから公開討論を申し込んだりしました。
すると、2ちゃんねるでは私の悪口を書くスレッドが20スレッドになり、ある学者先生からは300万円の名誉毀損訴訟を起こされました。
「300万円!」…驚きましたが、いろんな人にアドバイスをもらいながら1つ1つ反論して、無事に請求棄却となりました。
ちなみに、私を訴えた文芸評論家のKさんは、その後小説も執筆するようになり、2度芥川賞候補になったそうです。
さて、いま思い返すと、ネットでいろんなことを書かれると、「何でこんな簡単なことが分からないの?」「どう説得したら分かってもらえるか」と自分も熱くなっていたように思います。
そんな経験も踏まえながら、「ネットで攻撃されたときの3つの対処法」をご紹介します。
REBTを使う:ネットで攻撃されたときに役立つ3つの対処法
(1)相手はコントロールできないと知る
相手は間違えているんだから、丁寧に説明すれば分かってくれるはずだ。…というのは幻想です。
こちらは実名で発信していても、ネットでは匿名で文句を書いてくる人が大勢います。話せば分かる可能性はゼロではありませんが、ゼロに近いと考える方が余分なエネルギーを使わずにすみます。
「ネットの見知らぬ相手は、いくら根気よく説明しても考えを変えない」…とりあえずは、その認識に立って現実的な対策を立てることをオススメします。
カウンセリングでは「不協和への対応」があります。
相手との信頼関係がなく議論が成立しないときは、説得して相手を変えようとするのではなく、とりあえず「理解する」こともひとつの策です。
「ああ、この人はこんな風に考えているんだ」とか「何か気に触ることがあったんだなあ」とか、興味を持って観察してみましょう。「反論しよう」「説得しなきゃ」と考えるよりも落ち着いて対応できます。
それが無理そうな場合は、とりあえず時間を置く、距離を置く。相手にしないことも十分賢明な対応です。
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(2)「不便」と「不幸」を区別する
ネットで自分の悪口を書かれるのは厄介です。自分の名前を検索すると、悪口のオンパレードになるわけですからね。
書かれた文字が黒板なら消せるし、紙なら丸めて捨てられる。直接の知人なら本人に文句を言ったり、関係者に取り持ってもらうこともできますが、ネットの匿名相手だとそうはいきません。
もちろん、「SNSのルールを改善する」「ネットの書き込みについて本人を特定できるようにする」など、制度上の問題解決も必要でしょう。
それは当然だとして、ネットで悪く書かれたときの自分の心の整理の仕方としては、「不便」と「不幸」を区別することもオススメです。
「自分の意見が曲解されている」「見当違いの反論を書かれる」「自分の名前を検索すると悪口がヒットする」…これは「不便」なことです。あるいは「不運」だと言ってもいいかもしれません。それを見た人が「○○さん(あなた)は✗✗な人なんだ…」という印象を持つかもしれないわけですから。
一方、だからと言って、それであなたが「不幸」になるわけではありません。
どんなに「お前は間違っている」と書かれても、意に介さない人だっています。あなたが幸せか不幸かを決めるのは、見知らぬ匿名の誰かではなく、あなた自身です。
ケンカ腰のコメントをもらったり悪口を書かれたりしても、それは「不便」ではあれ「不幸」ではない。自分の幸せを決めるのは、自分自身だと肝に銘じておきましょう。
(3)自分自身の価値は無条件で受け入れる
他人からネガティブな評価を受けると、それで自分自身の価値が下がった、または自分が無価値になったように感じてしまいがちです。
他人からの評価と自分の価値を連動させてしまう。これは、いざというときダメージを受けやすい考え方です。
そうではなく、「他人からの評価とは関係なく、自分の価値は変わらない」という基本態度を身に着けましょう。
これは「ビッグアイ(I)」と「スモールアイ(i)」という図で理解することができます。
イラストの中の小さな iは個々の出来事です。これらはマル(よくできた)だったり三角(イマイチ)だったりします。他人から否定される(=バツをもらう)ことだってあるでしょう。
ただし、それを自分自身の価値(ビッグI)と連動させないことが肝要です。
他人から否定されるのはたしかに残念なことだけど、それはそれ。自分自身の価値とは無関係だと知っておきましょう。
この「自分自身の価値は無条件に受け入れる」態度は、できれば日頃から繰り返し自分に言い聞かせ、身につけておくことが望ましいです。
そうすることで、いざ他人から否定的な評価を受けたときでも、ダメージを少なくして、落ち着いて対処できるようになります。
○まとめ
ネットで攻撃されたときの3つの対処法。
- 相手はコントロールできないと知る
- 「不便」と「不幸」を区別する
- 自分自身の価値は無条件で受け入れる
今回は、ネットで攻撃されたときの3つの対処法について、私自身の体験も踏まえながら、論理療法(REBT)の考え方を紹介しました。
ネットの書き込みで傷つきにくくなるために、どうぞ参考になさってください。
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