自殺は究極の対処法!? しょ〜もないコーピングを沢山持てば、自分を傷つけずにすむ
以前、ネガティブな感情の対処法あれこれ(コーピングとREBT)として、コーピングの記事を書きました。
今回はその続き。認知行動療法(CBT)に基づいたコーピングについての研修を受けたので、そこでの内容をシェアします。
皆さんはストレスを感じた時の気晴らしを持っていますか? 運動をしたり、映画をみたり、友だちとランチしたり、人それぞれですね。
「ストレスに対する意図的な対処」を心理学用語で「コーピング」と呼びます。
たとえば、「上司に叱られた」(ストレッサー=ストレスのきっかけとなる出来事)、そして「落ち込んだ」(ストレス反応)というときに、「友だちに愚痴をこぼす」のも「ヨガのレッスンに通う」のも「美味しいものを食べる」のも、みんなコーピングです。
コーピングは予めレパートリーリストを作って沢山もっておくのがコツです。そして、ストレスを感じたら、リストを見て片っ端から試してみるのです。
「ヨーロッパ旅行でリフレッシュする」とか「新車を買う」もコーピングになりますが、大きなコストがかかりますね。そういう意味では、「コンビニでお気に入りのアイスを買う」とか「Youtubeでお笑いを見る」とか、コストが少なくてすむコーピングを沢山持っておくのがオススメです。
○自殺は究極のコーピング!? デメリットが大きいコーピングについて
薬物やリストカット:デメリットが大きいコーピング
また、「ストレスに対する意図的な対処」であるかぎり、結果的に望ましくなさそうなものも、コーピングとして考えられます。
たとえば、大麻や覚醒剤などの薬物使用も、ストレスへの対処という視点からみれば、コーピングです。ただし、自分の身体を壊したり、法を犯して社会的ダメージを受けたりすることになり、長期的にはデメリットが多いコーピングだといえます。
若い女性のリストカットだって、「この状況から逃れたい」「誰かにかまってほしい」など何らかの理由があって行うわけですから、コーピングです。これも自分を傷つけるという意味でデメリット大ですから、コーピングのレパートリーとしては後回しにしておく方がいいでしょう。
薬物使用やリストカットは絶対ダメ!…という考え方ももちろんありますが、コーピングの観点からいえば、むしろ、その人にとってコーピングのレパートリーが少なすぎること、リスクが大きすぎるコーピングを選ばざるを得ないことが問題です。
自殺は究極のコーピング!?
コーピングの研修を受けていちばん印象的だったのは、「自殺は究極のコーピング」という言葉でした。強いストレスから逃れるために、自分の命に手をかける対処法…。
とはいえ、死んでしまうと取り返しがつかないので、そのコーピングが効果的だったかどうか検証して今後の生活に活かすこともできません。
また、周囲の人に様々な形でダメージを与えるなどの点で、非常にコストパフォーマンスが悪いコーピングだとも言えるでしょう。
ここでも問題は、「自殺がいいか悪いか」ということよりも、コーピングのレパートリーが少なすぎることにあります。(コーピングの観点から見れば)
○小さな、しょ〜もないコーピング・レパートリーを持とう
薬物にせよ、リストカットにせよ、自殺にせよ、ストレスへの対処法としての選択肢がそれしかないと、長期的に有害なコストーパフォーマンスの悪いものを選ばざるを得なくなります。
逆にいえば、コーピング・レパートリー・リストとして、小さな、しょ〜もないものを沢山もっていることが、日常をストレスへの対処として有効です。
- コンビニでハーゲンダッツのミニカップ(バニラ)を買ってきて、お気に入りのミニスプーンで食べる
- むかついた相手の名前を紙に書いてシュレッダーにかける
- 初恋のクラスメイトを思い浮かべる。もし付き合っていたらと妄想する
- 腕を伸ばして深呼吸する
- 目をつぶって足の裏が床に触れる感触を味わう
- ○○ちゃんにラインを送る。返事が来なくても気にしない
…などなど、何でもあり!
小さな、しょ〜もないコーピングを目標100個集めて、プリントアウトするかスマホに入れて持ち歩きましょう。何かあれば、リストからどれかを試して、効果を確認しましょう。書き加えたり入れ替えたりして、リストを育てていきましょう。そうすることで、いざというとき、自分を傷つけなくてすむようになるのです。