親がやりがちな傾聴にならない12のロードブロック(7〜12) トーマス・ゴードン
「親がやりがちな傾聴にならない12のロードブロック(1〜6) トーマス・ゴードン」の続きです。
前回の記事では、子育て中の方から「心に刺さりました」というコメントや、また海外の人から「このイラストのアイデアをワークショップで使いたい」という感想もいただきました。
今回は後半の6つを紹介します。
まず、親が子供にやりがちな12のロードブロックのリストはこちら。
12のロードブロック
- 命令する・指示する
- 警告する・脅かす
- 助言する、解決策を与える
- レクチャーする、論理的に説得する
- 道徳的に教化する、すべきことを伝える
- 判断する、反対する、批判する
- 褒める、同意する
- あざける、レッテルを貼る、恥をかかせる
- 解釈する、分析する
- 質問する、探りを入れる
- 安心させる、同情する、慰める
- 撤回する、ごまかす、話題を変える
以下、後半の6つ(7〜12)を紹介します。
(7)褒める、同意する
「まったく大きいお姉ちゃんで、お利口だねえ」
「今回頑張っていたと思うよ。結果はでなかったけど、よくやった」
「そうそう。学校なんてつまらないよね」
※褒めればいいというものでもない。子供本人の自己イメージと合っていなければ、「理解されていない」と感じて反発を感じることもある。また、頻繁に褒めすぎると、褒められないときは逆に批判されているように受け取ることがある。
(8)あざける、レッテルを貼る、恥をかかせる
「あれあれ、大きな赤ちゃんだねー」
「また約束守らなかった。嘘つきは泥棒の始まりだな」
「そんなことじゃ一生ひきこもりだ」
※子供のセルフイメージを台無しにするやり方。子供は、自分が無価値で悪い人間で愛されないと感じるだろう。
(9)解釈する、分析する
「ママを困らせようと思って!まったく…」
「今日は苦手な科目があるから行きたくないんだね」(と決めつける)
「デートしないのは恥ずかしがり屋だからだね」
※解釈が当たっていると子供は困惑するし、解釈が違っていると、不当な分析に怒りたくなる。いずれにしても、親は子供より優位な立場にたとうとしている。
(10)安心させる、同情する、慰める
「大丈夫。次はもっと上手くいくって!」
「まだ小さいのに。かわいそうね…」
「みんな経験することだし、心配しなくていいんだよ」
※安心させようとすることは、親が思うほどには子供にとっては助けにならない。子供は自分がいま感じている恐怖や辛さを分かってくれていないと思いって、それ以上のコミュニケーションをやめてしまう。
(11) 質問する、探りを入れる、問い詰める
「ちゃんと言ったとおりに手を洗った?」
「どれだけ勉強したの? たった1時間…テストで平均には届かないね」
「いつからそう感じたの? 学校は関係ある? いじめがあるんじゃないの?」
※質問され問い詰められると、子供は自分が信頼されていないと感じる。また、自分で考える自由が奪われ、こうすべきだという答えを与えられるにすぎないと思う。
(12)撤回する、ごまかす、話題を変える
「ほら、あそこの男の子が持ってる風船を見て!」
「とりあえずマック行って何か食べようか」
「なんか暗いなあ…。もうちょっと前向きな話をしようか」
※親が子供の気持ちを尊重していないというメッセージを与えることになる。親が子どもの気持ちを無視すると、子供はすぐに自分の大切な気持ちや問題を別のところにもっていくようになる。
◯まとめ:「聞くこと=理解すること」の大切さ
いかがでしょうか。
子供は、私たち大人と同じように、「自分を尊重してほしい」「話を聞いてほしい」「理解してほしい」と思っています。
何か問題があると思ったとき、「聞くこと=丁寧に理解しようとすること」抜きにあれこれやろうとしても、うまくいかないことが多いのです。
子育てに携わる皆さん、ゴードン博士の「12のロードブロック」、ぜひ参考にしてみてください。
藤本祥和(REBT心理士/動機づけ面接トレーナー/ハートのフィットネスクラブ主宰)
(参考図書)
- 『ゴードン博士の人間関係をよくする本』(トーマス・ゴードン著・近藤千恵訳/大和書房)
- Parent Effectiveness Training: The Proven Program for Raising Responsible Children | Dr. Thomas Gordon
- 『動機づけ面接 第3版』(ミラー&ロルニック著、原井宏明監訳/星和書店)
- LISTENING WELL THE ART OF EMPATHIC UNDERSTANDING | WILLIAM R. MILLER
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※Youtube動画シリーズ「傾聴と動機づけ面接(MI)」もぜひご覧ください。