子育てと対人支援の基本形〜「価値観」への3つのアプローチ
対人支援のアプローチについて、ちょっと考えてみましたので、ご興味ある方はご覧ください。
(私の仮説)
対人支援は「価値観への3つのアプローチ」の組み合わせである。
※ここでいう「価値観」は「いい/わるい」「したい/したくない」「重要/重要でない」「すべき/すべきでない」などの、個人的・社会的なものの捉え方を指します。
※(例)子育ても対人支援の1つとして考えてみる
【よくある失敗例】
よくある失敗例としては、「親の価値観を一方的に押し付ける」ことが挙げられます。
この方法は、子供の反発を招きやすかったり、あるいは、そのときたまたま上手くいっても、状況が変わると対応できなくなるなどのデメリットがあります。
(例)「テストでいい点を取る人が偉い」という価値観の押し付け→ 将来、そうでないケースに遭遇した時に対応できなくなる
【価値観に対する3つのアプローチ】
親(支援者)の価値観を押し付けるのではなく、協働的に望ましい変化を目指す場合に、3つのアプローチが考えられます。
(1)子供の価値観をよく聞いて理解する。
(2)望ましいゴールへと向かう「変化側の価値観」に焦点を当て、引き出す。
(3)ゴールの達成を妨げる「維持側の価値観」に焦点を当て、より機能的な価値観にアップデートする。
ロジャーズ/傾聴は(1)のアプローチです。
「親業」で有名なトーマス・ゴードンの「12のロードブロック」は、「子供を理解しようとしない=(1)に反する」やり方だといえます。
MI(動機づけ面接)は、(2)のアプローチになります。(あるいは1〜2)
REBT(論理療法)/CBT(認知行動療法)は(3)のアプローチになります。
「友達に嫌われたから自分は生きる価値がない」という考え(価値観)に対して、もっと自分の助けになる考え方(「友達に嫌われたのは残念だけど、それはありうることだ。友達に嫌われるかどうかで自分の価値は変わらない」)への置き換えを試みます。
例えば、「子供が学校に行きたがらない」とき、(1)では、子供の気持ちや考え、悩みなどをそのまま理解しようと努めます。
(2)は「学校に行くとどんないいことがあるか」に焦点を当てます。
(3)は「学校に行くことを妨げている考え」を検証し、よりゴール(学校に行く)に向かいやすい考え方にアップデートすることを目指します。
ただし、「学校に行く」が常に望ましいゴールとは限りません。
より本質的な目標、例えば「大人になった時に社会で生きていける」が目指すゴールだとすると、当然、何が変化側かは異なってきます。
その場合は、「(学校に行かず)◯◯する」も変化側になります。
いずれにしても、この3つのアプローチをどう組み合わせるかが、子育て、あるいは対人支援を考える時に大切になります。
….以上は、あくまで私の現時点の仮説なので、今後、改良していければと考えています。
実際に対人支援の現場で活動されている皆さんからのコメントがあればぜひ伺いたいです。
自分としては、この考えを改良しながら、「対人援助職のキャリア支援」などにも活かせればと思っています。