REBTと『禁煙セラピー』〜共通点と相違点
※ネタバレ注意(この記事には『禁煙セラピー』についてのネタバレが含まれています。これからご自身の禁煙に活用しようという方はご注意ください)
REBTと『禁煙セラピー』
『読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー』というロングセラー禁煙本があります。
Amazonのページを見ると、「たばこ・禁煙」カテゴリーで1位、「755件のカスタマーレビュー」(2019年3月現在)。すごいですね。
何を隠そう、私自身も10数年前に『禁煙セラピー』を読んだ日から1本も吸っていません。絶大な効果を実感したひとりでもあります。
一方、REBTを活用してタバコをやめることもできます。
どちらも、タバコへの心理的依存から脱するという点は共通しています。ではいったい何が違うのでしょうか。
共通点
共通点は「考え方を変える」です。
『禁煙セラピー』の場合は「タバコに対する考え方・見方をダイナミックに変える」ことで一気に禁煙を実現します。
「いままで、それなりに良いもの、必要なものだと思っていたタバコが、実はとんでもないシロモノだった、騙されていた!」というようにタバコへの見方を根本的に変えることで、タバコへの未練を捨てさせます。
一方のREBTは認知行動療法のひとつですから、考え方(認知)を変えることはこちらでも重要なポイントになります。
相違点
違うのは、何についての考え方を変えるかですね。
『禁煙セラピー』は「タバコはいいもの」→「タバコはとんでもないモノ」というように「タバコ」への評価を180度転換します。
たとえていえば、「魅力的な女性だと思っていたら、実は詐欺師だった」というパターンですね。自分が騙されていたと知ることで恋も一気に冷めます。
ところがREBTでは、タバコを必ずしも悪者にする必要はありません。
なぜなら、「禁煙できない」(=行動をコントロールできない)という問題の原因はタバコというモノではなく、タバコに対する自分の思い込み(イラショナルビリーフ)だからです。
思い込みとは、たとえば次のようなものです。
- ストレス解消にはタバコが絶対必要だ。
- 円滑なコミュニケーションにはタバコが欠かせない。
- タバコがない人生は味気なく、耐えられない。
などなど。
これらのガンコな思い込みにアプローチして、より合理的な考えに変えることで、自分を適切にコントロールできる(=禁煙)ようにします。
恋愛にたとえれば、相手が詐欺師かどうかは問題ではないのです。「彼女がいないとオシマイだ。生きていけない」という思い込みを適正化するのです。
メリットとデメリット
『禁煙セラピー』の場合は、うまく嵌まれば一気に禁煙に成功します。
でも一方で、「タバコは悪いものだ。自分は騙されていた」という考えを保ちつづけることが必要となります。その考えを維持できないと、吸わないでいる理由が薄れますし、またタバコについて意見が異なる人と話が合わなくなる可能性もあります。
REBTは『禁煙セラピー』ほど、即効性はないかもしれません。自分の中の不合理な考えを発見して、根気よく修正していく方法ですから。
一方、メリットとしては、タバコ自体の評価に左右されず、自分を変えていけることが挙げられます。
これは裏を返せば、タバコにかぎらずどんなものにでも使える方法だとも言えます。
たとえば、「マンガばかり読んで、試験勉強ができない」という場合に、マンガを悪者にする必要はありません。マンガという外部のモノではなく、マンガに対する自分の思い込みを変えればいいわけですから。スマホやゲーム、恋愛、…いろんなことに使えますね。
まとめ
『禁煙セラピー』とREBTの方法の比較、いかがだったでしょうか。
モノ(タバコ)への評価を変えるのか、自分の中の「ねばならぬ」という思い込みを変えるのか。
実際には、これは二者択一ではなく、タバコへの評価を見直しながら、自分の中の思い込みを修正していくという併用が可能です。さらにいえば、そこに禁煙補助薬などを組み合わせることも効果的でしょう。
これから禁煙しようという方、周りに禁煙したい人がいる方、ぜひ参考になさってください。