アファーメーション(是認)の力〜「強み」のレンズで人を見る


今週末にアファーメーション(是認)についてのワークを担当することもあり、あれこれ調べていました。自分の知識の整理を兼ねて記事にしておきます。

アファーメーションは行動変容を促進するスキル

ひとりの行く道に光があたっているイラスト

「OARSで学ぶ傾聴教室」では、基本スキルのひとつとしてアファーメーション(是認)を採用しています。直接的な理由は OARS(開かれた質問、アファーメーション、聞き返し、要約)が動機づけ面接の基本スキルとされているからですOARS を軸に据えることでセッションの質を明確化し、また将来的に最新の「動機づけ面接」も学びやすくなります。

アファーメーションに関して言えば、これは伝統的な傾聴のスキルというよりも、より現代的な「クライアントの行動変容を促進する」スキルだと考えるのが良さそうです。

アファーメーション(是認):クライアントの強みや努力に言及すること

相手のいいところや変化へと向かう行動を発見し、それを言葉にして伝え返す。

みなさんも、逆の立場になると実感できるのではないでしょうか。自分の努力やいいところを言葉にして伝えてくれたら嬉しいし、自信が持てて、やる気がでますよね。

人は得てして相手のダメなところを発見して指摘したくなる衝動に駆られます(=正したい反射)。そうではなく、相手の強みを発見し、言葉にして伝える。

目の前の相手を「厄介な問題」としてではなく「強み」を持った人として捉える。「強み」のレンズで人を見る!

これはこれで練習が必要ですが、日常のさまざまな場面で効果を発揮します。

○ロジャーズの3条件とアファーメーション

来談者中心療法の創始者カール・ロジャーズの中核3条件(一致、受容、共感)とアファーメーションの共通点をまとめてみます。

ロジャーズの時代には、直接的には注目されていませんでしたが、クライアントのポジティブな側面への注目は、「3条件」の延長線上にあるともいえるでしょう。

「純粋性」(一致)との共通点

アファーメーションにとって何より大切なのは「嘘をつかない」ことです。口先だけで褒めても意味がありません。相手の努力や強みを発見し、そこに光を当てる気持ちで心から伝える。

「ゼニン(是認)はジェニュイン(genuine)」と語呂合わせで覚えておいてもいいかもしれません。

(Affirming should be genuine, it should prize what actually is true about the person. MI3 p64)

自分が上の立場から相手を評価するのではない。むしろ宝探しのように発見する、スポットライトを当てる感覚をぜひ身につけてください。

201221親が子供のいいところを発見しているイラスト

クライアントへの積極的な関心(受容)

ロジャーズはクライアントへの「無条件の積極的な関心」(Unconditional Positive Regard)を、その人が変化するための条件の一つとしました。

その文脈で言えば、アファーメーションは、相手のポジティブな部分への積極的な関心を示すことだと言えるでしょう。

たとえば、アルコール依存を克服して社会復帰したい人と接するとき、相手をジャッジして「○○できたらOK」と条件付きで受け入れるのではなく、まずは無条件に関心を寄せる。それに加えて、その人がいい方向に変化したいポジティブな側面を一緒に確認しあう。そんなイメージで捉えてもらってかまいません。

(Affirmation is a way to convey PR directly. –Effective Psychotherapists, Chapter 5 Positive Regard)

共感(エンパシー)との共通点

アファーメーションは2つの点で共感(エンパシー)と重なります。(MI3 p64)

  1. 「あなたの気持ちや考えや価値観を、私は正確に理解したいのです」という共感的なアプローチ、相手へのリスペクトがそこにあります。
  2. 口先だけではなく、本心からアファーメーションを行うためには、相手の話を深いところまでよく聞いて理解することが必要になります。

相手の内的な世界を正確に理解する。そしてポジティブな面を確認・共有する。答えはいつもその人自身の中にあるのです。

○単純なアファーメーションと複雑なアファーメーション

アファーメーションを「単純(simple)」と「複雑(complex)」の2種類に分類することもできます。

「単純なアファーメーション」は、その場で直接語られた行動などへのアファーメーション。

一方、「複雑なアファーメーション」はその人自身の性格や人格に対するアファーメーション。より深いところに光を当てるものです。

氷山のイラスト

複雑なアファーメーションには、よりダイナミックに相手の行動変容をサポートする可能性が秘められています。

あるセラピストは、薬物依存症の患者のセッションの最後、別れ際に「あなたは堂々とした人なんですね」(You are a dignified person.)と声を掛けました。次のセッションで会ったとき、その患者は何種類かあるうちの1つをやめることに成功していたそうです。

Simple affirmations comment on a particular client behavior, whereas complex affirmations focus on clients’ positive strengths and traits. (Effective Psychotherapists, Chapter 5 Positive Regard)

○まとめ

アファーメーションは、相手との関係づくりの小さな貯金をコツコツと貯めていくようなもの。(Listening Well p43)

また、相手のポジティブな側面に光を当て、行動変容を促すもの。

ぜひ、日常のコミュニケーションでも意識してみてください。

人にスポットライトが当たっているイラスト

○OARSで学ぶ傾聴教室

「OARSで学ぶ傾聴教室」では、傾聴(や動機づけ面接)のスキルとしてアファーメーションを学ぶだけでなく、学習コミュニティづくりとしてもアファーメーションを活用します。

つまり、参加者同士がダメ出しをするのではなく、お互いのいいところや成長を宝探しのように発見していく方式です。

ポジティブな面を発見する力を養うことは、「コミュニケーション」「セルフケア」「身近な人のサポート」の全てに効果を発揮します。

OARSで学ぶ傾聴教室:6/15(火), 17(木), 7/6(火), 7/20(木)オンラインにて開催します。ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。

OARSで学ぶ傾聴教室の案内

(参考)OARSで学ぶ傾聴教室「説得と傾聴のワーク」

(参考)傾聴/MIデモセッション(運動したいけど時間がない)

 

 

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