浅い認知(自動思考)と深い認知(スキーマ)って何?〜認知行動療法とREBT
○認知行動療法(CBT)への興味
先日の論理療法(REBT)入門ワークショップで「論理療法(REBT)と認知行動療法(CBT)と何がちがうの?」という話題がでたこともあり、今週、認知行動療法関連の本を何冊か読んでみました。
実際、論理療法のカウンセラー/セラピストで認知行動療法を併用している方はたくさんいます。両者はちょっとした親戚のようなもので、関係をごく簡単にいうと、次のようになりそうです。
※論理療法(REBT)と認知行動療法(CBT)の関係
・狭い意味でのCBTはアーロン・ベック博士が開発した認知療法(CT)から発展した。そこにREBTの理論も(ABCモデルなど)も取り入れられている。
・広い意味では、論理療法(REBT)は認知行動療法(CBT)の一種として分類できる。
(過去記事)
○REBT(論理療法)とCBT(認知行動療法)は何がちがう?
浅い認知(自動思考)と深い認知(スキーマ)って何?〜認知行動療法とREBT
○浅い認知「自動思考」と深い認知「スキーマ」
認知行動療法の入門書には、興味深い話題が満載でしたが、ここでは1つだけ紹介します。
それは浅い認知と深い認知という図式です。
○浅い認知「自動思考」
たとえば、テレビで「芸能人の不倫ニュース」を見たとします。
そのときに、人々の反応は決して同じではありません。
- 「絶対に許せない!」
- 「うわ、大変だろうな…」
- 「浮気された奥さん(夫)がかわいそう〜」
- 「世の中乱れすぎ」
- 「モテモテでうらやましい〜。それに比べて自分は…」
- 「どーでもいい」
などなど。
ある出来事に接したとき、その瞬間に浮かんでくる「いま・ここ」の認知(思考・言葉)を「自動思考」と言います。これが浅い認知です。
○深い認知「スキーマ」
では、なぜ人によって自動思考が大きく異なるのでしょう。
それは、そのその人自身がもっている物事の捉え方がちがうからだと考えられます。
この、深い部分での認知を「スキーマ」と呼びます。
(「スキーマ」の専門的な定義はこの通りではありませんが、ここでは参考書にならって「深い認知=スキーマ」としておきます)
「ルール違反は罰せられるべき」というスキーマを持っている人は、不倫のニュースを見たときに「許せない!」と強い怒りにかられるかもしれません。
一方、「自分は人から愛されない。分かってもらえない」というスキーマを持っている人は、同じニュースを見たときに、「たくさんの異性にモテて羨ましい〜。それに比べて自分は…」と思うかもしれません。
このように、その人にとっての「深い認知=スキーマ」が、そのときどきの反応である「浅い認知=自動思考」の違いを生み出しているといえます。
それを逆からみれば、心や行動のちょっとした問題解決なら「浅い認知=自動思考」へのアプローチ、もっと根が深い問題なら「深い認知=スキーマ」へのアプローチを試みることが、有力な解決策となることが考えられます。
専門的なことはともかく、「浅い認知と深い認知」という考えをとりいれるだけでも、自分や人の見方が変わってくると思いませんか。
○論理療法(REBT)と認知行動療法(CBT)
この「スキーマ」は論理療法における「ビリーフ」とも重なり合うところがあります。
論理療法の場合は、その人が心に抱いているビリーフ(信念、思い込み、「ベキの壁」)を特定して、問題の深さに応じて調整しながら、より健康的なビリーフに置き換える作業を行います。
認知行動療法、なかなか面白そうです。
私の場合は論理療法(REBT)を軸として学びながら、関連分野である認知行動療法(CBT)にも興味をもって、使えそうなスキルを身につけてみようと思いました。
(参考)
- 『ケアする人も楽になる 認知行動療法入門1・2』(伊藤絵美著/医学書院)
- 『ケアする人も楽になる マインドフルネス&スキーマ療法1・2』(伊藤絵美著/医学書院)
- Albert Ellis’s ABC Model in the Cognitive Behavioral Therapy Spotlight
- REBT(論理療法)の特徴と認知行動療法との違い(実践サイコロジー研究所)