REBTと「樽のおじさん」(ディオゲネス風)
最近、友人の娘さん(8歳)がこんな鼻歌を歌っていたそうです。
♪お金もなーい
宿もない
仕事もなーい
運もない
ごはんもなーい
親もない
みっともなーい
情けない
ないないなーい
ナイフもない♪
最後の「ナイフもない♪」がいい感じ (^^)
そして、ひと言。
「今日はゴミのベッドで寝ましょう」
なかなかのセンスです。
REBTと「樽のおじさん」
女の子に教えられるまでもなく、私たちの生活は「…もない」だらけです。
仕事、恋人、お金、友人、健康…すべてがいつも満たされている人などいないのではないでしょうか。
さて、ここで思考実験をしてみましょう。
あるところに「樽に住んでいるオジサン」がいます。
このオジサンには、財産もなければ、家族も友達もいません。
にもかかわらず、とても幸せそうに暮らしています。
あなたは彼に対して「お前は不幸だ」と証明することができるでしょうか?
たとえば、彼に「お前は無一文だから不幸だ」と言ったとしても、本人が平気なら、説得力がないですね。
「妻や恋人がいないから不幸」「社会のために何もしていないから不幸」
と言われても、オジサンは平気です。
このオジサンは、お金持ちがやってきて「何でも願いをかなえてあげよう」と持ちかけても、「だったら、そこをのいてくれ。日向ぼっこの邪魔になるから」と言うぐらい徹底しています。
…結論を言うと、周りの誰であれこのオジサンを「不幸だ」と決めつけることはできません。
幸せか不幸かを決めるのは、他の誰でもなく本人ですからね。
○あなたの価値は変わらない
同じことは、皆さん自身にもいえます。
あなたは「もっていない」ものだらけかもしれません。
財産 も才能もなく、恋人や友人にもたいして恵まれていないかもしれません。
だからといって、それが不幸だと決めつけることは誰にもできません。
あなたが幸せか不幸かを決めるのは、あなた自身ですから。
無条件の自己受容
論理療法(REBT)では「持ち物がある/ない」「能力がある/ない」「成功/失敗」「評価される/されない」などにかかわらず、自分自身を受け入れてその価値を認めることを「無条件の自己受容」(unconditional self-acceptance/USA)と呼びます。
自分の価値は「持ち物がある/ない」とは無関係。
この「無条件の自己受容」ができると、失敗したり、上手くいかなかったりしたときにも、過度にダメージを受けることなく、何とかやっていけるようになります。
無条件の他者受容
自分自身の価値を無条件に認めることができると、こんどは相手を受け入れることもできるようになります。
これを「無条件の他者受容(unconditional other-acceptance/UOA)」と言います。
「…できたから自分の価値を認める」ではなく「…できるできないにかかわらず自分の価値を無条件に認めてしまう」。
これが山あり谷あり、幸運あり不運ありの日常生活を楽しみ、生き抜くこと(Enjoy & survive)の鍵となるのです。
論理療法のベースとなる「無条件の自己受容」。皆さんもぜひ、ご参考になさってください。
(関連記事)