REBTとACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の違いは?〜コトバや思考と距離をおく

思考に巻き込まれているイラスト

あなたの不注意で子供が大怪我をしてしまいました。あなたは「わたしは母親失格だ」と落ち込み、罪悪感が頭から離れません。

こんな場合のセルフヘルプのアプローチはいろいろありますが、今回は、私自身の勉強も兼ねて、ACT(アクト=アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を紹介してみます。

REBTとACTの違いは?

ACTの構成要素は複雑ですが、ここではごく簡単な入口として「アクセプタンス」「コミットメント」というキーワードを取り上げます。

ACTのアクセプタンス

思考から距離をとるイラスト

「罪悪感」「落ち込み」「傷ついた気持ち」といったネガティブな感情や「自分は母親失格だ」「あのとき○○していれば」といった思考に巻き込まれてしまった状態をACTでは「フュージョン」(融合)と呼びます。

このフュージョンを解消するにはどうすればいいか?

面白いことに、ACTではそれを無理にコントロールしようとはしません。ネガティブな思考を抑えつけよう、取り除こうと一生懸命になればなるほど、その思考を繰り返し呼び起こし囚われてしまうからです。

その代わりに、そのネガティブな思考をそのまま受け入れます。これを「アクセプタンス」といいます。

心をオープンにし、「言葉や思考から距離を置いて眺める」スキルを実践します。

「罪悪感」「落ち込み」「私はダメな親」などの思考は現実そのものではありません。

それを、たとえば川の上流から下流へと葉っぱに乗って流れていくもの、あるいは、舞台の上の演劇のようなもの…というようにイメージして観察します。

過去や未来やさまざまな思考から距離を置いて「いま、ここ」に集中する「マインドフルネス」のスキルと本質的に同じものだと考えていいでしょう。

そうすることで、「巻き込まれ状態=フュージョン」を脱するのです。

ACTのコミットメント

自分の価値に従って進むイラスト

もうひとつの要素は「コミットメント」です。

「コミットメント」とは「関わること」。何に関わっていくのかというと、それは「あなた自身が大切にしている価値」です。

あなたは長い目でみて「子供が自分らしく育っていく」ことを大切にしたいと思っているとしましょう。ならば、その価値に向けて行動を選んでいけばいいのです。

「正しい/正しくない」ではなく、何が自分の価値観に即しているかという行動基準。

「私はダメな親」という考えが長い目で見てあなた自身の価値の達成を妨げるものなら、それは採用せず、より自分の価値観に合った行動を選んでいけばいいのです。

ACTまとめ

いかがでしょうか?

私たちはしばしば、ネガティブな考えや思考に巻き込まれてしまいます。

そのときに、それを無理やりコントロールしようともがくのではなく、シンプルに距離を置いて眺めるスキルを身につける。そして、自分の価値観を自覚してそれに沿った行動を選択していく。

なかなか魅力的な方法だとは思いませんか。

もちろん一朝一夕で身につけられるスキルではありませんが、興味ある方は「マインドフルネス」「ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」などで調べてみてください。

REBTとACTの共通点と相違点

最後に、私が専門としているREBT(論理療法)とACTの共通点と違いを簡単にまとめてみます。

共通点

共通点は、「その人の価値観に沿ったゴールを目指すこと」です。

ACTでは「有効性(workability)」という概念がひとつのキーワードになっています。「正しい/正しくない」ではなく、その人自身の価値観に沿っているかどうか。

一方REBTも、その考えや態度がその人自身のゴールに向かって助けになるかどうかを考えて、クライエントがより「助けになる(helpful)」「柔軟な(flexible)」考えを選べるようにサポートします。

もちろん細かい違いはありますが、最初の入口としてはどちらも「その考えや行動は自分の価値観に沿ったゴールに向かっているか」という捉え方でいいと思います。

相違点

REBTとACTの違い

一方、REBTとACTの大きな違いは「コトバや思考の捉え方」です。

REBTは言葉を使って、感情の混乱の原因となっている思考(ビリーフ)をチェックします。その思考はその人にとって目標達成の妨げとなるものなので、そうではない、もっと柔軟で助けとなる思考を選ぶサポートをします。

一方のACTは、言葉や思考の中味には立ち入らずに、そのまま受け止め、少し距離をとって観察します。そのうえで、その人の価値観に合った行動を選ぶサポートをします。

まとめ

もちろん、カウンセリング/セラピーのアプローチとしては大きな違いがありますが、個人のセルフヘルプの方法としては、両方有効だと私は思います。

ネガティブな感情や思考に巻き込まれないために、あなたならどんな方法を選びますか?

 

ラジオディレクター/REBT心理士 藤本祥和(→オンラインカウンセリング)

(参考文献)

『よくわかるACT 明日からつかえるACT入門』(ラス・ハリス著、武藤崇監訳/星和書店)

『実践!マインドフルネス 今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン』(熊野宏明著/サンガ)

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