「好き」と「欲しい」を区別すれば、もっと自由になれる〜依存症の仕組み
「人は何かを好きだから、それを欲しがる」と思っている方は、その考えをいちど疑ってみるといいかもしれません。
1990年代に、米国ミシガン大学のケント・ベリッジという神経学者は、薬物使用者が人生を破綻させてもドラッグを続ける理由を解明しようと試みました。
快感物質ドーパミンが生成できなくなるように手術したラットで実験したところ、ラットは甘みがあるシロップへの好みを失ったにもかかわらず、シロップを直接与えられると以前と同じようにひたすら口を舐め回す行動をとることが判りました。
これと同じく薬物の依存症患者は、その薬物が「好き」(like)というわけではなく、むしろ生活を破壊する薬物を嫌悪しながらも、たまらなくその薬物を「欲しがる」(want)ことも多いのです。
甘いものが我慢できない人は、いつもその甘さが「好き」で楽しんでいるわけではありません。たいして好きでもないのに、ときには苦しいのにそれを「欲しがって」しまうのです。
SNSで常に「いいね!」をチェックしなければ気がすまない人は、「好き」でもないのに他人の承認を「欲しがっている」状態かもしれません。
恋愛関係でも、最初は「好き」で始まったものが、そのうち「好き」でもないのに「欲しい」と、相手に執着するだけになることもあります。
私も以前、禁煙に何度も失敗していたころは、「止めようと決心」→「タバコを見ると欲しくなる」→「人にもらったり、灰皿のシケモクを吸ったり」ということがよくありました。
「好き」だから「欲しい」ではなくて、もはや「好き」ではないのに「欲しがってしまう」…まさに依存症ですね。
あなたが改善したいと思っている行動を振り返ってください。あなたはそれを「好き」でやっているのか。それとも、好きではないのに「欲しがって」いる状態なのか。
「好き」と「欲しがる」の区別。そこに気づけば、あなたは自分の行動をもっと自由に決められるようになれるはずです。
REBT心理士、動機づけ面接トレーナー 藤本祥和
(2021年3月、オンラインサロン「傾聴とセルフヘルプの学校」(仮)計画中)
(参考文献)
『「依存症ビジネス」のつくられかた 僕らはそれに抵抗できない』(アダム・オルター著/ダイヤモンド社)