自分を観察!「セルフモニタリング」のススメ
怒りや不安や落ち込みなどで感情が乱れているとき、私たちは「過去」「未来」「他人」「うまくいかない出来事」などで頭がいっぱいになっています。
そんなときに役立つ方法が「セルフモニタリング」(自己観察)です。
セルフモニタリング
セルフモニタリングは自分の体験(出来事、感情、思考…)に巻き込まれるのではなく、少し距離を置いて観察する技術です。
渦中にいる自分を、もうひとりの自分が観察すると言ってもいいかもしれません。
認知行動療法のセルフモニタリングでは、大きく5つの領域について自分を観察します。
図の左は「環境(ストレッサー)」、右側はそれに対するストレス反応です。
- 環境・ストレッサー
- 認知
- 気分・感情
- 身体反応
- 行動
この5つの領域で、「今自分に何が起きているか」を観察します。
例1:怒り
「仕事で自分の提案が無視された」と怒りで頭がいっぱいになっているとしましょう。
このとき(1)環境・ストレッサーは「仕事で提案が無視された」です。他の4つの領域はどうなるでしょうか。
たとえば…
(2)認知:「なんだこいつ!」「ふざけるな!」「どいつもこいつも馬鹿ばっかりだ!」
(3)気分・感情:怒り
(4)身体反応:頭に血がのぼる、身体が震える
(5)行動:周りの物に当たる、(仕事が手につかず)歩き回る
例2:落ち込み
「クラスメイトから仲間はずれにされた」と落ち込んでいるとします。こちらはどうでしょうか。
- 環境・ストレッサー:「クラスメイトから仲間はずれにされた」
- 認知:「あー、まただ」「私はダメな人間だ」「これから先も誰からも好かれないかもしれない」
- 気分・感情:落ち込み、不安
- 身体反応:胸のあたりがズーンとする、涙があふれる、血の気が引く
- 行動:呆然としながら飲み物を飲む
いかがでしょうか。こんな感じで、5つの領域についてセルフモニタリングすることで、頭の中を整理することができます。これを書き出すだけでも落ち着く効果があります。
例3:ウレシイ場合
そして、セルフモニタリングはこのようなストレス体験だけではなくて、ポジティブな気持ちについても行うことができます。
- 環境:休日の朝、窓の外はいい天気
- 認知:「ああ、いい天気だなあ」「今日はお休みだし、もう最高」「誰か誘って街に出てみようかな」
- 気分・感情:うきうき、さわやか、ハッピー
- 身体反応:力がみなぎる感じ、頭がすっきりした感じ
- 窓を開けて深呼吸する
セルフモニタリングのススメ
自分を観察する習慣が身につけば、ストレスの対処も上手になり、一方で、毎日の小さな喜びを感じながら、今を大切にする感覚が身につきます。ぜひお試しください。
藤本祥和(ハートのフィットネスクラブ主宰/REBT心理士/動機づけ面接トレーナー)
(参考書籍)
『ケアする人も楽になる 認知行動療法入門』(伊藤絵美著/医学書院)
『ケアする人も楽になる マインドフルネス&スキーマ療法』(伊藤絵美著/医学書院)
◯HFCイベント「セルフモニタリングとマインドフルネス」
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