アンガーマネジメントに学ぶ10の対処法〜怒りをコントロールするか。怒りにコントロールされるか。

自宅で過ごす時間が長くなりがちなこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

コロナうつ、コロナDV、コロナ離婚などなどに加えて、政治に怒る、芸能人に怒る、自粛しない人に怒る…などなど怒りのニュースも目にします。

怒ること自体はOKですが、怒りがエスカレートして家族に怒鳴り散らしたり、暴力を振るったり、物を壊したり、仕事が手につかなかったり、友人知人との関係が壊れてしまったりなどすると問題です。

怒りをコントロールするか。それとも、怒りにコントロールされるか。これは大きな違いです。

今回は最近流行の「アンガーマネージメント」の入門書を参照しながら、怒りに対する10の対処法を紹介しましょう。

 

1:ディレイテクニック(衝動的な反応を遅らせる)

delayのイラスト

まずは、怒りの衝動をコントロールする技術から。

「ディレイテクニック」は瞬間的な怒りの結果、相手や物に当たってしまう前に、その衝動的な反応を遅らせるテクニックです。たとえば、具体的には次のような方法があります。単純ですが、あなどれませんよ。

  • 深呼吸:怒りを感じたとき、何も考えずにゆっくりと大きな深呼吸を4、5回する。「何も考えずに」がポイント。
  • ストップシンキング:怒りを感じたとき、自分自身に向かって、心の中で「止まれ!(STOP)」と言ってみましょう。「相手がなぜそんなことを言ったか」「言われたことにどう反論しようか」といった余計なことは考えません。あらゆる思考を止めましょう。
  • カウントバック:「100, 97, 94, 91……」という具合に、100から3ずつ引いていく逆算を頭の中でしてみましょう。英語で 100(One hundred), 99(ninety nine), 98(ninety eight)…と遡っていってもいいです。少し手間のかかる計算に集中することで、怒りの感情を脇に置いておくことができます。

「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」の歌を2回歌うと20秒〜30秒になります。自分の持ちネタを決めておくのもいいですね。

 

2:コーピングマントラ(魔法の呪文を用意する)

いい言葉

「コーピング」は「対処法」、「マントラ」は「呪文」のことです。「怒りを感じたときにはこの言葉を唱える」という自分なりの魔法の呪文を予め用意しておきましょう。

「大丈夫、なんとかなるさ」「たいていの怒りは小さなこと」「1ヶ月後には忘れてる」「相手も悪気があるわけじゃないんだ」…なんでもいい。自分にしっくりくる言葉がすぐでてくるようにしておきたいですね。

あるいは言葉でなくジェスチャーでもOKです。「両手を10回グーパーさせる」「人差し指でこめかみをノックする」など自分のサインを決めておきましょう。

(関連記事)ネガティブな感情の対処法あれこれ(コーピングについて)

 

3:グラウンディング(いま、この場所に集中する)

ネコの手とペンのイラスト

イライラして目の前のことに集中できないとき、思考を「今」「この場所」に集中するテクニックです。

例えば、目の前にあるペンを手に持って、それをじっくり観察してみます。心の中で、自分に質問しながら答えていきましょう。

「そのペンは何色ですか?」(黒? 青? それと、も赤?)

「どんな形ですか?」(丸い? 四角い? 他の形?)

「材質は何ですか?」(プラスチック? 金属?)

真剣に観察している間、自分をイライラさせた「過去」や、怒りをはらしてやろうと思う「未来」のことは意識しないようにします。「今」「この場所」に集中ですよ。

 

4:タイムアウト(いったん席を外す)

「不在中」の張り紙のイラスト

相手の言葉にカチンと来たとき、思わず熱くなってしまいそうになったとき、いったん席を外すテクニックです。

勝手に立ち去るのではなく、まず相手にタイムアウトをとることを伝えましょう。一定の時間を置いたら戻ってくることを約束し、戻ってきた後に議論の続きをするという約束をします。

タイムアウトをとっている間は、先程の議論を思い出すのではなく、散歩、お茶を飲む、ストレッチするなど、リラックスできるような気分転換を行います。

家族の間なら、タイムアウトをお互いの習慣にすることもできそうですね。

 

5:ミラクルデイ・エクササイズ(理想の一日を想像する)

瞬間的な怒りへの対処法だけでなく、長期的な視点に立った「怒りにくい体質づくり」も大切です。

ミラクルなイメージの絵

ミラクルデイ!自分が怒りをコントロールできて、自分の感情と適度に向き合いながら、周りの人とも上手にコミュニケーションをとっている「理想の一日」を想像してみましょう。そして、その一日を細かいところまで具体的に描いてみましょう。

その日、誰が最初にあなたの変化に気づくでしょうか。その人はなぜあなたの変化に気づいたのでしょうか。あなた自身は自身のどんな点が変わったと思いますか。…感情面の変化は? …行動面の変化は? あなたにとっての理想の日を10段階の10とすると、今日は何段階目にいるでしょうか?

そうやって理想の一日を明確化する訓練をしましょう。習慣化すれば、怒りに巻き込まれにくい体質に近づくことができます。

(関連記事)ミラクル・クエスチョンで「ちょっといい未来」!〜解決志向ブリーフセラピー

 

(6)スケールテクニック(感情の尺度を測る)

尺度を測るネコのイラスト

あなたの状態は「怒っている」「怒っていない」の二者択一ではありません。「全然怒っていない」状態から「人生最大の怒り」まで、いろんな段階があります。

怒りを感じたときには、自分で怒りのレベルを判定してみましょう。あなたの怒りは「軽いイライラ(1〜3)」なのか、「誰かに文句を言ってしまうような怒り(4〜6)」なのか、「腹いせに人を攻撃したり、ものを投げたりするような強い怒り(7〜9)」なのか。

自分の怒りのレベルが分かれば、対処法も見つけやすくなります。

(関連記事)スマホ忘れて1日台無し? スケーリング(尺度化)で感情を測ってみよう

 

(7)アンガーログ(書き出して自己観察する)

足跡で日記をつけるネコ

怒りを記録することで「見える化」する対処法です。「日時」「できごと」「そのとき思ったこと」「どんな感情を持ったか」「感情の強さ」「どんな行動をとったか」「その結果どうなったか」などを紙に書くことで自分の感情を客観視します。

怒りの感情に溺れるのではなく、いったん外に出して観察する。そうすることで自分の頭の中も整理されます。すべての項目を書かなくても、書けるものだけサラッと書き留めるだけでもOK。

 

(8)自分のコアビリーフを知っておく

ABCのフォーマット

怒りの原因は「出来事そのもの」ではありません。「同じ出来事でも、人によって反応がちがう」という原点に立ち返りましょう。あなたの怒りの根本原因は、あなた自身のビリーフ(深いところにある価値観や思い込み)だと頭を切り替えれば、過度な怒りへの本質的な対処法が見えてきます。

「不倫は絶対に許されるべきではない」という価値観を持っている人もいれば、「恋愛は自由であるべきだ」という価値観を持っている人もいます。

「子供にはダメなことはダメと強くいうべき」という人もいれば、「子供も1人の人間だから、丁寧に理論的に諭すべき」という信念の持ち主もいます。

目の前の相手や出来事があなた自身のビリーフと対立するときが、あなたが怒りに駆られやすいときです。

会話の中でも、自分の心の声でも、「べき」という言葉に注意してみましょう。そして、一人ひとりの「べき」が違うことを心に留めておきましょう。

(関連記事)15歳の君にも分かる〜失敗への取り組み方:REBT入門(3)ABC理論

 

(9)自分の「トリガー思考」を知る。

ピストルの引き金とネコの手の絵

上述のビリーフと合わせて、あなたにとって怒りの引き金となりやすい出来事の捉え方「トリガー思考」を知っておきましょう。

「バカにされた」「利用された」「無視された」「認めてもらえない」「誰も話を聞いてくれない」「見下された」「裏切られた」「思い通りにいかない」「容姿のこと」「年齢のこと」「人種差別」「男女差別」…などなど。

自分にとって何が引き金になりやすいか予め知って、心の準備をしておけば、いざというときヒートアップしにくくなります。

(関連記事)浅い認知(自動思考)と深い認知(スキーマ)って何?〜認知行動療法

 

(10)自分の気持ちを「アイ・メッセージ」で伝える

アイ・メッセージで話すイラスト

最後は、コミュニケーションの仕方をひとつ。怒りに駆られるときは、「お前が…」とか「あいつが…」とか「社会が…」とか、周りや他人を主語にして考え、それを否定しがちです。

ところが、自分の感情を押さえられないほど熱くなるのは、あなた自身なのです。だから、そんなときは、浮かんでくる言葉の主語を「私は」に変換して、自分の感情を言葉にしてみましょう。

「約束を守らないなんてありえないだろ!」ではなく、「君が約束を守らなかったから、私は心配なんだ」と言い換えてみましょう。

相手が約束を守らなかったことは事実でも、その時生じる感情の責任は自分自身にあることを明らかにしながらコミュニケーションしてみましょう。これを「I(アイ)メッセージ」と言います。

 

○まとめ

怒りに巻き込まれないための10の方法、いかがでしたでしょうか。

  1. ディレイテクニック(衝動的な反応を遅らせる)
  2. コーピングマントラ(魔法の呪文を用意する)
  3. グラウンディング(いま、この場所に集中する)
  4. タイムアウト(いったん席を外す)
  5. ミラクルデイ・エクササイズ(理想の一日を想像する)
  6. スケールテクニック(感情の尺度を測る)
  7. アンガーログ(書き出して自己観察する)
  8. 自分のコアビリーフを知っておく
  9. 自分の「トリガー思考」を知る。
  10. 自分の気持ちを「アイ・メッセージ」で伝える

「アンガーマネージメント」の入門書から抜き出した10の方法には、論理療法(REBT)のABCモデルでおなじみの「自分のコアビリーフを知っておく」から、認知行動療法(CBT)解決志向ぶブリーフセラピーなど、いろんな方法が含まれています。

「怒りにコントロールされる人」ではなく、「怒りをコントロールする人」になるために。

気に入ったものから、ぜひ実践してみてください。

(参考書籍)

  • 『アンガーマネジメント入門』(安藤俊介著/朝日文庫)
  • “SOS HELP FOR EMOTION–MANAGING ANXIETY, ANGER & DEPRESSION” (Lynn Clark, Ph.D.)

 

※「怒り」「不安」「先延ばし」など感情や行動の問題については、個別のオンラインカウンセリングやオンライン研修も受け付けています。ご自身や周りの感情問題への取り組み方、コミュニケーションの技術を向上させたいなど、まずはお気軽にお問い合わせください。

REBT心理士 藤本祥和

 

 

 


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