ACT「脱フュージョン」とREBT〜思考の「くっつき」を切り離せば、気が楽になる

誰でも、自分を苦しめている思考があります。

「私は負け組だ」「私は○○さんにはかなわない」「私はブサイクだ」「誰も私を愛してくれない」…などなど。

ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)という心理療法では、そのような思考に巻き込まれている状態を「くっついた」というような意味で「フュージョン」と呼びます。

フュージョンのイラスト。「わたしはダメ人間」

ネガティブな思考に巻き込まれている「フュージョン」の状態

「フュージョン」から脱する方法のひとつに、こんな方法があります。

まず自分を苦しめている思考、たとえば「私は失敗ばかりしているダメ人間だ」という言葉を心の中で思い浮かべます。自分が「ダメ人間」だと思えてくることでしょう。

つぎに、同じ言葉をもういちど心のなかで繰り返します。ただし今度は「『私は〜だ』という考えをもっている」という言い方にします。『私は失敗ばかりしているダメ人間だ』という考えをもっている」というように。

「脱フュージョン」のイラスト。「…という考えを持っている」

「…という考えを持っている」と意識している「脱フュージョン」の状態

さらに、『私は失敗ばかりしているダメ人間だ』という考えを持っている、ということに気づいた」としてみます。

いかがでしょうか。思考はあくまでも思考であって、現実そのものではありません。あなたが「ダメ人間」だというのは、あなたがそう考えているにすぎません。ならばそれを思考として切り離すことで、距離を置いて、あなた自身が楽になることができます。

○REBT(論理療法)との組み合わせ

REBTの基本原理に、「私たちは考えるように感じる」(We feel what we think)があります。

逆にいえば、思考を変えることで感じ方も変えることができるというのがREBTや認知行動療法の考え方です。

今回紹介した、思考を切り離すテクニックはACTの入門書から紹介しましたが、自分の思考と少し距離をおいて観察するという意味で、REBTでも使うことができるように思います。

「子は親に対して素直であるべきだ!…という考えを私は持っている」とか「このプロジェクトの失敗するのが怖ろしい、という考えをもっている、そんな自分にいま気づいた」とか、自分の思考や感情を見つめる練習をしてみましょう。

(参考文献)

『よくわかるACTアクセプタンス&コミットメント・セラピー』(ラス・ハリス著/星和書店)

“A Practitioner’s Guide to Rational Emotive Behavior Therapy” (3rd Edition)

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